連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

まちある調査団

  • 印刷
拡大
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 「西(2、4)向く(6、9)士(さむらい)(11)」。1年で31日までない月をそう覚えた人も多いだろうが、中でも2月の日数は「28日」と目立って少ない。4年に1度のうるう年は1日増えるが、それでも他の月に及ばない。何をいまさら。でもなぜ? 調べてみると、“格差”が生まれた背景には遠い昔、古代ローマの政治家ユリウス・カエサルの存在があるようで-。(小川 晶)

 日本で現在の暦が使われ始めたのは1873(明治6)年。欧米に合わせ、太陽の動きに基づく「グレゴリオ暦」が導入された。

 2月が28日しかない理由に、その発祥から導かれた「定説」が存在する。グレゴリオ暦の基礎となった「ユリウス暦」にちなむ2千年以上前のエピソードだ。

 ユリウス暦は、呼称の通り、カエサルが紀元前45年に採用した太陽暦に由来する。その際、1年365日のうち、偶数月を30日に、自身が7月生まれだったことから奇数月を1日多い31日とし、2月だけ29日とした。当時の1年は、種まきの時期の3月に始まっていたため、「年末」の2月で日数を調整したという。

 このユリウス暦に手を入れ、現行の暦の下地をつくったのが、後継者のアウグストゥス。カエサルにならって自身の誕生月の8月を31日とし、9月以降は奇数月を30日、偶数月を31日と入れ替えた。改定によって増えた1日分の帳尻を合わせるため、2月がさらに削られて28日になった-。

 細部が異なる話もあるが、これが定説のおおまかなストーリーだ。

 「理解しやすく、興味深い筋書きですよね」。明石市立天文科学館の鈴木康史学芸員は、市民向けイベントで紹介したことがある。

 ただ、同館の配属後に書籍で得た知識といい、真偽については「原典を当たったことがなく、確証はないんです」と明かす。

 「さまざまな本やテレビ番組で引用されているが、信ぴょう性は極めて低い」と定説を真っ向から否定する人もいる。国立天文台暦計算室の片山真人室長だ。

 説明によれば、カエサルやアウグストゥスと同時代の書物には、暦の項目に定説の内容は全く記されていないという。千年ほどたって、ある歴史書に突然登場するそうで、片山室長は「後世の創作が広まった可能性が高い」とみる。

 ではなぜ、2月は28日なのか。片山室長の文献調査では、ユリウス暦の前の暦の時代にさかのぼる。

 当時の1年は355日。各月の日数は、不吉とされた偶数を避けて29日か31日だった。例外が年末の2月で、はらいや清めの月として28日と設定されていた。

 カエサルが1年365日の太陽暦を導入したのは確かで、各月は日数をならすように30日か31日になったが、2月は28日のまま据え置かれた。宗教的に重要な祭礼が多く、混乱を招かないよう日数変更を避けたとみられる。

 発祥の諸説が入り乱れる2月だが、他の月との日数格差を埋めようとする動きは継続的にあるらしい。

 片山室長によると、近代以降、グレゴリオ暦を採る各国が、国連などの場でたびたび改定を検討。年ごとに変わる日付と曜日の関係を固定する案の中で、2月を30日とする方向性が示されたこともあったという。

 だが、近年は低調で、実現のめどはたっていない。片山室長は「暦に基づく宗教行事や市民生活への影響が大きく、改定に向けて各国の足並みがそろうとは思えない」としている。

カレンダーを並べてみれば、2月と他の月の“格差”は一目瞭然だ(撮影・吉田敦史)

2019/2/18

天気(10月29日)

  • 22℃
  • ---℃
  • 0%

  • 18℃
  • ---℃
  • 10%

  • 22℃
  • ---℃
  • 0%

  • 22℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ