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まちある調査団

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わずかに咲いたレンゲ(手前)を見ながら思い出を話すNPO法人「輝かすみが丘」の桝井啓子理事長(右)と野口和子理事。奥は五色塚古墳
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わずかに咲いたレンゲ(手前)を見ながら思い出を話すNPO法人「輝かすみが丘」の桝井啓子理事長(右)と野口和子理事。奥は五色塚古墳
大勢の人でにぎわった今年のれんげまつり(野口和子さん提供)=いずれも神戸市垂水区五色山4
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大勢の人でにぎわった今年のれんげまつり(野口和子さん提供)=いずれも神戸市垂水区五色山4

 神戸市垂水区五色山4の国史跡・五色塚古墳周辺で4月下旬の休日、「れんげまつり」が開かれ、親子連れら約2400人でにぎわった。ところが、訪れた家族によると、肝心の花が見当たらなかったという。レンゲのない「れんげまつり」とは-。事情を探ると、地域住民の10年にわたる努力と挫折の物語があった。(山本哲志)

 「今年で終わります」。12回の開催を重ねてきたれんげまつり。主催する地元のNPO法人「輝(かがやき)かすみが丘」に問い合わせたところ、理事長の桝井啓子さん(67)から予期せぬ言葉が飛び出した。

 「毎年、何とか花を咲かせようと試行錯誤してきました。でも思うようにいかず、今年は特に駄目で…。チャレンジは最後にしようと決めたんです」

 会場は五色塚古墳北側の空き地。案内してもらうと、わずかに咲いてはいるが、目立つのは雑草ばかり。

 「遠くから来てくれた人に『だまされた』『想像していたのと違う』と言われるのが心苦しくて。地元では、レンゲが咲く頃のお祭りと理解してもらっている部分もあるのですが」。法人理事野口和子さん(57)の表情は寂しげだった。

▼史跡から移転

 メンバーや地域の古老によると、もとは古墳の堀にレンゲ畑があったという。2005年、垂水区の阪神・淡路大震災10年事業「花いっぱいフェスタ」の一環として「第1回れんげまつり」が開催された。

 だが、2年ほど後、神戸市教育委員会から待ったがかかる。史跡内という場所が問題視されたのだ。市教委文化財課の当時を知る担当者は「古墳をシンボルとして活用してもらうのはありがたいが、史跡の中でレンゲを育てるのは現状変更にあたり、好ましくなかった」と説明する。

 そこで、50メートルほど北側にある現在の場所に畑を移したのが苦難の始まり。市営住宅の跡地で、震災後、仮設住宅が建てられた一帯はそれまでと違って水気がなく、田んぼのような場所に咲くレンゲとは合わなかった。

 種をついばむ鳥や雑草にも悩まされ、熱心な世話も功を奏さず。苦肉の策として、プランターに入れたレンゲを持ってきて並べた年もあったという。

▼住民の「絆」

 10年近くの奮闘むなしく断念したレンゲ栽培。ただ、メンバーは出店などでにぎわい、地元住民に親しまれてきた祭り自体は続けていく方針で、新たに名前を公募する。

 桝井さんと野口さんは「私たちの目的は地域の輪をつくること。レンゲが咲かなかったのは残念だけど、お祭りを通して種まきは十分できたと思うし、『絆』という花もたくさん咲いた」。そう語る表情は、どこか誇らしげでもあった。

 お祭りは来年以降も4月第4日曜日に開催予定。名前のアイデアは、同法人が管理を受託している五色塚古墳管理事務所(TEL078・707・3131)まで。

〈レンゲ〉

 春から初夏にかけて田んぼやあぜに紅紫色の花を咲かせる、中国原産のマメ科の越年草。レンゲソウ、ゲンゲとも。水田の裏作や飼料作物として広く栽培されてきたが、化学肥料の普及でレンゲ畑は全国的に減っている。開花時期には各地でさまざまなイベントに活用され、貴重な蜂蜜のもとでもある。

2016/5/19

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