連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

まちある調査団

  • 印刷
「新生田川」とも呼ばれる現在の生田川=神戸市中央区、JR新神戸駅から撮影
拡大
「新生田川」とも呼ばれる現在の生田川=神戸市中央区、JR新神戸駅から撮影
「生田川」の銘板が付いた磯上橋=神戸市中央区磯上通
拡大
「生田川」の銘板が付いた磯上橋=神戸市中央区磯上通
「新生田川」の銘板がある布引橋=神戸市中央区生田町
拡大
「新生田川」の銘板がある布引橋=神戸市中央区生田町
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 神戸市中央区の布引の滝を上流に、同区の市街地などを流れる生田川。川は一つしかないのに「新生田川」と記述した地図もあり、どちらが正しいのか、ずっと疑問だった。「新」は必要なのか、不要なのか-。白黒つける取材を始めた。(小西隆久)

 「どっちなんですか?」。神戸市建設局河川課に単刀直入に尋ねた。答えは「生田川です。新は付きません」。長年のもやもやが氷解、したはずだった。

 かつて、川は現在のフラワーロードの位置にあったのは知られた話。たび重なる氾濫で被害を受けた居留地住民の要望を受け、兵庫県が1871(明治4)年、現在の位置に付け替えた。

 同区の加納町の地名は、その工事を手掛けた加納宗七の名から取ったという。以来、埋め立てられた元の川と区別するため、「新生田川」という呼び名が生まれたという。

 「実はこの頃の生田川という名称も正式ではないんです」と兵庫県河川整備課。そもそも1938(昭和13)年の河川法適用まで、「一般の渓流扱いだったんです」(同課)。ということは、最初の生田川も通称で、区別のための新生田川も通称というわけだ。

 法律上の区分はどうなっているのか? 河川法に適用された名称は生田川水系生田川、つまり「生田川」だ。となると、地図上の「新生田川」の根拠はどこにあるのか。

 住宅地図大手のゼンリン(福岡県)によると、地図の作製は通常、自治体の都市計画地図を参考にするが、現地調査を踏まえて判断することもあるそうだ。「この件については橋の銘板を反映した結果です」(広報室)。

 橋の銘板? 市建設局道路部によると、生田川に架かる橋で同部所管分は計16橋ある。大半の橋には橋と河川の名称の銘板はあるが、記述内容までは把握していないという。

 記者が橋を見て回ったところ、二宮橋(中央区二宮町)と布引橋(同区生田町)の銘板には「新生田川」と記されていた。

 市建設局道路部に改めてこの食い違いを告げたが、銘板に関する資料は見当たらず、真相はやぶの中。「通称名が書かれた書類を参考にしたのでしょうか…」と、職員は首をかしげる。

 一つの川に二つの名前が併存する生田川。川を付け替えた歴史の名残が、図らずも地図や橋の銘板に残されたということか。水害が繰り返されないよう願った当時の人々の思いが、「新」の1字に込められている。そう解釈した。

【生田川】正式名称は2級河川「生田川水系生田川」。神戸市灘区の摩耶山北側を源に、神戸港まで中央区の市街地など約1・8キロを流れる。流域面積は約11平方キロメートル。

2016/10/24

天気(12月10日)

  • 15℃
  • ---℃
  • 0%

  • 16℃
  • ---℃
  • 0%

  • 16℃
  • ---℃
  • 0%

  • 15℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ