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まちある調査団

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昭和乳業の生産ライン=尼崎市浜2
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昭和乳業の生産ライン=尼崎市浜2
兵庫県内で唯一、学校給食用のビン牛乳を生産する「昭和乳業」の工場=尼崎市浜2
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兵庫県内で唯一、学校給食用のビン牛乳を生産する「昭和乳業」の工場=尼崎市浜2
いただきます-。給食の時間が始まり、ビン牛乳を手にする児童=尼崎市立若葉小学校
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いただきます-。給食の時間が始まり、ビン牛乳を手にする児童=尼崎市立若葉小学校

 学校給食の定番と言えば、今も昔も牛乳。ただ、かつて一般的だった「ビン」牛乳は、コスト面や持ち運びの利便性などから「紙パック」に“主役”の座を奪われ、姿を消しつつあるという。兵庫県内、そして全国の学校給食に、ビン牛乳はどれくらい残っているのだろうか。調査してみた。(石川 翠)

 平日の午後零時過ぎ、尼崎市立若葉小学校(同市道意町6)。ガチャガチャと音を立てながら、給食当番がビン牛乳入りの黄色いケースを教室に運び込む。児童たちはビニール製のフィルムとミミの付いた紙キャップをはがし、勢いよく飲み干していく。

 同市の学校給食でビン牛乳が出されるようになったのは、全国で牛乳給食が本格化した1964年。市内6業者で組合を結成し、加工・製造と配送を担った。当時は市内にも牧場があったという。

 だが、現在も操業するのは「昭和乳業」(同市浜2)だけ。淡路島から生乳を調達し、1本200ミリリットルのビン牛乳を1日2万3千本生産する。市内42の小学校分を一手に手掛ける溝下順一社長(60)が「給食用ビン牛乳を生産しているのは、県内ではうちだけなんです」と教えてくれた。

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 兵庫県牛乳協会(神戸市中央区)によると、学校給食の現場では近年、運送や製造コストが安く、品質も向上した紙パックへの移行が加速している。

 2011年、県内最大手の「共進牧場」(本社・同市中央区)が、給食用ビン牛乳の生産ラインを廃止したこともあり、神戸をはじめ、三田、小野市など各地で紙パックに完全移行。現在、学校給食でビン牛乳が残っているのは尼崎市のみで、県内のビン比率は5・8%しかない。

 全国的にも同様の傾向なのだろうか? 独立行政法人「農畜産業振興機構」などのデータを集めてみた。

 13年度時点の数字でみると、国産の牛乳生産量の約10・5%にあたる約36万キロリットルが学校給食で消費されている。容器別容量比率では75・9%が紙パック、24%がビンだ。

 都道府県別では、青森や静岡、徳島など16道県が完全に紙パックに移行。ほかに、ビン比率30%以下は19府県に上る。一方、理由は判然としないが、大阪府(81・3%)や愛知県(70・1%)、東京都(49・5%)など大都市圏ではビン比率が高い傾向がみられた。

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 使用後の洗浄などにコストがかかり、重量も配送のネックとなるビン牛乳。「なぜビンにこだわるのか」と尋ねると、溝下社長からこんな答えが返ってきた。

 「臭いを吸収しやすい牛乳の風味を保つには、紙パックよりビンのほうがいい。古くなったビンも新しいものに再利用されるので、無駄がないんです」

 学校給食に牛乳が登場して半世紀超。兵庫などで風前のともしびとなっているビン容器が、再び脚光を浴びる日はやってくるのか。

 県牛乳協会の担当者は「ビンに懐かしさを感じ、残してほしいという声は保護者を中心に多い」とした上で「製造機械自体が少なくなり、復活は厳しいのでは…」としている。

2015/11/24

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