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まちある調査団

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 十干十二支(じっかんじゅうにし)の「丙午(ひのえうま)」に生まれた女性は、気性が激しい-。そんな迷信が、1966年に前年比25%減という出生数の大幅な落ち込みを引き起こした。半世紀がたち、気付けば次の丙午が10年後の2026年に迫る。最新の国勢調査確定値が10月末に発表され、算定が始まった将来推計に、その影響はどう反映されるのだろうか。(小川 晶)

 将来推計人口を算定する厚生労働省の「国立社会保障・人口問題研究所」(社人研、東京)によると、1966年の出生数は、全国で136万974人だった。160万人台から190万人台へと増加傾向が続いた高度成長期の60年代に突出して少なかった理由を、厚労省などは「迷信の影響」と公に認めている。

 だが、2010年国勢調査に基づく将来推計では、十干十二支が一巡して再び丙午になる26年の数値(77万3672人)に目立った落ち込みはない。社人研の担当者は「迷信の影響の程度は考慮していない」と説明する。

 将来推計は、長期的な人口動態の把握が目的で、仮に26年の出生数が減っても、その前後が増えて相殺される-との考えという。15年国勢調査の確定値が公表され、社人研が5年ぶりに取りかかる新しい将来推計の算出作業でも、丙午は検討されない見通しだ。

 一方で、そもそも26年に出生数が減る可能性はあるのか。専門家からは、否定的な意見が相次ぐ。

 家族社会学が専門の中京大の松田茂樹教授は「1966年当時は、結婚して男性に養ってもらう古い女性像が残っており、『お嫁にもらってもらえなかったらどうしよう』と考える親が一定数いた」と指摘。その後の50年で女性の生き方が多様化したとし、「結婚しない選択肢も一般的になり、迷信に惑わされるような時代ではない」とする。

 「戦争や病気ではなく、迷信で出生数が減るというのは欧米では聞いたことがない」と笑うのは、英国出身の関西学院大のリチャード・アービング教授(人口問題論)。迷信自体を知らない世代の増加や政府の少子化対策、教育の変化などから、10年後の影響はほとんどないとみるが、インターネットの普及が気がかりだという。

 「今の若者はSNSなどで回ってくる情報を信じやすい。理論的にはあり得ないと分かっていても、丙午が大々的に広がれば、それが宗教のようになって出産を控える風潮につながるかもしれない」

 【丙午】この年に生まれた女性は気性が激しく、夫の命を縮めるとされる迷信。江戸時代、井原西鶴が著した浮世草子「好色五人女」で、恋人に会うために自宅に放火した八百屋お七が、丙午の生まれだったことなどが由来とされる。

■半世紀前の兵庫県、25%も減

 丙午に当たる1966年は、兵庫県内でも全97市町(当時)で出生数が減少し、迷信の影響が広がっていたことを裏付ける。

 県統計課によると、66年の県内出生数は6万1745人。65年の8万2500人、67年の8万7967人と前後の年と比べても際だって少ない。

 20市77町(当時)の全自治体で前年比マイナスとなり、県全体で25・2%減。五色町(現洲本市)=67・3%減▽北淡町(現淡路市)=57・0%減▽城東町(現篠山市)=56・8%減-の3町が半数以下に落ち込んだ。

 地域別の減り幅でみると、淡路の34・0%が最も大きく、丹波(33・9%)、但馬(32・4%)も3割を超えた。影響が小さかった順では、阪神北=21・5%▽阪神南、東播磨=23・9%▽神戸=24・4%-で続いた。

 同課の担当者は「都市部に比べ、地域のつながりが濃い農山漁村地域の方が、昔ながらの風習が根強く残っていたことをうかがわせる」と説明する。

    ◇  ◇

 「丙午」の1966年に生まれた女性には、2大会連続で五輪のメダルを獲得した有森裕子さんや、アイドルとして一世を風(ふう)靡(び)し、現在は俳優として活躍する小泉今日子さんら各界に多彩な顔ぶれがそろっている。

 66年生まれの主な女性著名人は次の通り。(敬称略)

 江角マキコ(俳優)

 小谷実可子(五輪メダリスト)

 斉藤由貴(俳優)

 鈴木保奈美(俳優)

 冨永みーな(声優)

 広瀬香美(歌手)

 藤島ジュリー景子(芸能プロモーター)

 松本明子(タレント)

 三田寛子(俳優)

 安田成美(俳優)

 RIKACO(タレント)

2016/11/21

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