• 印刷
特殊詐欺被害を防いで東灘署の署長感謝状を受ける、ローソン阪神御影駅南店の櫻田典子店長=東灘署
拡大
特殊詐欺被害を防いで東灘署の署長感謝状を受ける、ローソン阪神御影駅南店の櫻田典子店長=東灘署
特殊詐欺被害を防いで東灘署の署長感謝状を受ける、ローソン阪神御影駅南店の櫻田典子店長(左)=東灘署
拡大
特殊詐欺被害を防いで東灘署の署長感謝状を受ける、ローソン阪神御影駅南店の櫻田典子店長(左)=東灘署

 高齢の男性客への声かけで特殊詐欺被害を防いだローソン阪神御影駅南店の櫻田典子店長(51)に、東灘署が署長感謝状を贈った。犯人の言うことを信じ込み、レジで現金30万円を数えて電子マネーカードを買う気満々だったという男性客(73)を、櫻田さんはどのように翻意させたのか。当時の状況を振り返ってもらった。 

 ■封筒から出して

 同署によると、7月27日午後10時半ごろに男性客が来店。5万円分のグーグルプレイカード6枚計30万円分を購入しようと、レジにやって来た。

 高額だったため詐欺を疑ったレジの従業員が、バックルームにいた櫻田さんに相談。櫻田さんがレジに出ていくと、男性は持参した封筒から1万円札の束を出して、30万円を数えているところだった。慌てもせず、至って平静に見えた。

 「購入を止めるのって、簡単じゃないんです。心外だと言って怒る人もいる。なので、言葉は慎重に選びました」

 ■あくまで一般論

 櫻田さんは尋ねてみた。「失礼ですけど、何にお使いですか」「最近、電子マネーカードを使った詐欺が多くて」

 あなたはきっとだまされている、と決めつけると、不快に思われてしまう-。あくまでも「最近そういうケースが多い」と、主語も曖昧に一般論を提示した。

 すると、男性客は一瞬「えっ」と驚きながらも話してくれた。「いや、実はね」

 使い道は「パソコンの修理代」で、「買って来るように言われた」という。

 ■「私も説明します」

 インターネットのニュースで、同じような詐欺被害の記事を読んだことがあった櫻田さんは詐欺を確信。「本当に払わないといけないお金なら、しっかり調べた方がいいですよ」と助言した。「詐欺じゃないかを調べるには、警察の協力が必要です」

 警察、と聞いて身構える人は多いので、ここではとにかく「安心してもらうこと」を心掛けたという。「私もちゃんと説明します。一緒にいますから」

 男性客が「分かりました」と素直に応じてくれたので、110番した。

 ■みんなの「わがこと」

 実は、店では2年ほど前にも似たような特殊詐欺被害を防いだことがあった。

 「当時はカードを買おうかどうか、お客さんが長時間迷っていた。昼から夕方のシフトに交代する時間帯で、『あのお客さんよく見ておいてね』と引き継いだ上でようやく声をかけて。その経験もあって、従業員みんな、詐欺が全く関係のない世界のことじゃないという当事者意識が頭にあるようです」

 櫻田さんも、こういうときに「わがこと」として考えるようにしている。「もし自分の親がだまされたら」と想像してみる。当然責めるべきは犯人だと頭では分かっていても、たぶん「何で(購入を)止めてくれなかったの」という感情もわく。だから、怒られる不安があっても声をかけよう、と勇気を出す。

 ■追加で要求

 同署によると、今回の男性客は自宅のパソコン画面に「ウイルスに感染した」との警告が表示されたので、指定の電話番号に連絡したところ、修理費名目で電子マネーカードを買うよう指示されたという。

 ローソン阪神御影駅南店に行く直前には別のコンビニで25万円分の電子マネーを購入し、番号を相手に伝えてしまっていた。味を占めた犯人が「修理費が足りない」と追加購入を要求してきたのだった。

 被害拡大を食い止めた櫻田さんは8月12日に東灘署で署長感謝状を受け取った。「ほっとした」と振り返る一方、「取れる人から取るというやり方が本当にひどい」と憤り、「いろんな手口があると聞くので、こちらも情報を知って対応していかないといけない」と気を引き締めていた。(井上太郎)

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)※URLが押せるようになるまで少し時間がかかる場合があります。

東灘話題
もっと見る
 

天気(9月6日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 10%

  • 35℃
  • ---℃
  • 10%

  • 35℃
  • ---℃
  • 10%

  • 36℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ