８回目を数えた昨年の神戸マラソンは招待選手の外国人ランナーが上位に名を連ねたが、兵庫ゆかりの選手も奮闘。男子で日本人２番手の６位に入った篠藤淳さん（山陽特殊製鋼、神戸市垂水区出身）、女子で日本人トップの７位だった横川海姫さん（兵庫大、姫路市出身）に、地元コースの印象やレースの感想を聞いた。（金山成美）

■女子７位・横川海姫さん　非日常空間　楽しもう

　「海を見ながら走るのがこんなに気持ちいいとは思わなかった」

　高校では相次ぐ故障に悩まされたが、大学２年で再起を目指して挑んだ初のフルマラソンで２時間４９分２１秒。日本人トップの７位で潮風を受けながら海沿いを駆けた。

　前日の食事からレースを意識し「高カロリーなので普段は控えているが、エネルギーを使うので試合前は好きなものを食べます」。スタート地点の三宮周辺に前泊し、大好きなオムライスとプリンを完食した。

　大学ではトラック１万メートルが主戦場。監督の助言で「ほぼ着けたことはない」というサングラスを身に着け、４２・１９５キロの旅へ。「意外とまぶしさを感じた。目の疲労感が全然違う」。日差し対策が好走を後押しした。

　風がきつく、脚も止まりそうだった残り３キロ。神戸大橋では次々と歩きだす男性走者が目に入ったが「マラソンじゃなかったら、海の上の道路なんて絶対に走らへん」と非日常空間を楽しんで終盤の難所も乗り越えた。

　「高校時代、毎日電車から見えてたはずなのに、今まで景色に気づかなかった。海はいいですね」。姫路出身のニューヒロインはミナト神戸のとりこになった。（尾藤央一）

■男子６位・篠藤淳さん　３０キロまで余裕持って

　高校まで過ごした神戸のコースを、昨秋初めて走った。折り返し地点は生まれ育った垂水区の舞子。「釣りが好きで、海岸でよく遊んだ。明石海峡大橋、行き交う船、広がる海。日本有数の景色だなと気持ちよく走れた」と目を細める。

　一方で「知らない場所もたくさんあった」といい、「大輪田泊（おおわだのとまり）付近は行ったことがなく、新発見が楽しい４２・１９５キロだった」と移り変わる風景を堪能。観衆の多さに驚き、「ボランティアをしていた同級生と会い、友達のお母さんが声を掛けてくれたのは、地元ならではでうれしかった」と声援を力に変えた。

　アスリート目線では「垂水のアウトレット付近の上り下りでリズムが崩れやすく、かなりの難所」と指摘。「最後の坂がきつくなるので、３０キロ付近まで余裕を持つことが大事」と解説する。

　陸上歴は２０年超だがマラソン歴は３年で、神戸で出した２時間２０分２２秒が自己ベスト。春先は兵庫リレーカーニバルに出場するなど３０００メートル障害で脚力を強化する考えだ。「思い通りにいかなくて難しいが、挑戦しがいがある。まず２時間１５分を切りたいし、分かるまでやりたい」。マラソンでも結果を追い求める。

【よこがわ・みき】１９９８年生まれ。姫路市出身。小学４年から北浜ジュニアランニングクラブ（高砂市）に通い、姫路市立安室中、須磨学園高を経て兵庫大へ。神戸マラソンの活躍でゴールドコーストマラソン（豪州・７月）の出場権を得た。１６６センチ、５２キロ。

【しのとう・じゅん】１９８５年生まれ、神戸市垂水区出身。舞子中－飾磨工高－中央学院大。箱根駅伝９区の区間記録は今も破られていない。３０００メートル障害を得意とし、２０１４年アジア大会４位などの実績を持つ。山陽特殊製鋼所属。１７２センチ、５４キロ。