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災間を生きる 震災人脈

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阪神高速神戸線の橋桁ごと地面に落下し、はりの下敷きとなったマイクロバス。運転席には故萬英治さんが乗っていた=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町 故萬英治さんが乗っていたマイクロバス(別方向から)=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町 阪神・淡路大震災で高架が真っ二つに折れた阪神高速神戸線=1995年1月18日、西宮市甲子園高潮町 阪神高速倒壊訴訟控訴審の第1回口頭弁論のために入廷する萬みち子さん=2003年7月2日、大阪市北区西天満2、大阪高裁 神戸新聞NEXT
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阪神高速神戸線の橋桁ごと地面に落下し、はりの下敷きとなったマイクロバス。運転席には故萬英治さんが乗っていた=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町

故萬英治さんが乗っていたマイクロバス(別方向から)=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町

阪神・淡路大震災で高架が真っ二つに折れた阪神高速神戸線=1995年1月18日、西宮市甲子園高潮町

阪神高速倒壊訴訟控訴審の第1回口頭弁論のために入廷する萬みち子さん=2003年7月2日、大阪市北区西天満2、大阪高裁

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  • 阪神高速神戸線の橋桁ごと地面に落下し、はりの下敷きとなったマイクロバス。運転席には故萬英治さんが乗っていた=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町
  • 故萬英治さんが乗っていたマイクロバス(別方向から)=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町
  • 阪神・淡路大震災で高架が真っ二つに折れた阪神高速神戸線=1995年1月18日、西宮市甲子園高潮町
  • 阪神高速倒壊訴訟控訴審の第1回口頭弁論のために入廷する萬みち子さん=2003年7月2日、大阪市北区西天満2、大阪高裁
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故萬英治さんが乗っていたマイクロバス(別方向から)=1995年1月17日、西宮市甲子園高潮町

阪神・淡路大震災で高架が真っ二つに折れた阪神高速神戸線=1995年1月18日、西宮市甲子園高潮町

阪神高速倒壊訴訟控訴審の第1回口頭弁論のために入廷する萬みち子さん=2003年7月2日、大阪市北区西天満2、大阪高裁

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 関西の大動脈である阪神高速道路の倒壊をはじめ、阪神・淡路大震災は現代都市の足元をゆるがせ、崩壊させた。落橋などに巻き込まれた犠牲者は16人。「想定外」が理由では亡くなった息子が浮かばれない-。公共インフラが果たすべき安全への義務と責任とは。一人の遺族が原因究明に立ち上がった。(竹本拓也、金 旻革)

 阪神・淡路大震災の1年前の1994年1月17日。米ノースリッジ地震で高速道路が倒壊した。その年の秋、倒壊した橋脚の映像をテレビで見ていた兵庫県西宮市の男性は母親にこう話した。「日本の技術は世界最高。この何倍の地震でも大丈夫、と学者が言っている」。だがその数カ月後、男性は同市甲子園高潮町の阪神高速神戸線でマイクロバスを運転中、崩落した橋桁とともに高速道路上から滑り落ちて命を落とした。自宅マンションから約500メートル先での惨事だった。

 阪神・淡路大震災で、阪神高速は神戸線、湾岸線の計6カ所で落橋・倒壊が発生。中でも、神戸市東灘区深江本町では高架道路が635メートルにわたって横倒しになった。

 阪神・淡路以前、米国では地震による高速道路の倒壊が相次いだ。89年の米ロマプリエタ地震と、5年後のノースリッジ地震。政府や土木学会はいずれも現地に調査団を派遣し、そのたびに学者らは「日本で同じことは起こらない」と繰り返した。ロマプリエタ地震の政府調査団報告書は、日本における設計上の想定震度が米国よりも大きく、橋の構造も異なることから「今回のような被害は生じないものと考えられる」とした。国全体が「安全神話」に漬かっていた。

 「なぜ、息子が死ななければならなかったのか」。亡くなった英治さん=当時(51)=の母萬(よろず)みち子さん(96)は、司法の場での原因究明に挑んだ。橋脚の周囲にあった家屋やビルが倒壊していないことから、疑念が膨らんでいったという。

 97年1月、阪神高速道路公団(現・阪神高速道路会社)を提訴。遺族が公団を相手取った唯一の国家賠償請求訴訟だった。

 口頭弁論は計27回に上った。原告側は、鉄筋やコンクリートの施工不良、安全対策の不備が引き起こした「人災」と主張。公団側は倒壊の原因は「想定をはるかに上回る地震」とし、管理上の落ち度や物理的欠陥は認められないとした。

 物証は乏しかった。公団は崩れた橋脚を震災後10日ほどで撤去。震災直後の95年1月20日ごろ、現場を視察した神戸大名誉教授の塩崎賢明さん(72)は、作業員が大量のコンクリート部材を撤去しているのを見た。「尊い人命が失われた現場なのに、ろくに現場保存や調査をせずに原状回復を急ぐのが理解できなかった」と話す。

 2003年1月、神戸地裁尼崎支部は「物理的な欠陥の証拠はない」として原告側の請求を棄却。萬さんは控訴したが、04年3月に和解が成立した。和解条項には、裁判で明らかにされた科学的知見を基に、公団が高架高速道路の震災対策に万全を期すことや、あらためて哀悼の意を示すことが入った。

 再発防止を願い、一人の闘いを続けた萬さん。真相究明はかなわなかったが、裁判を通じて一本足の橋脚のもろさなどが広く知られるようになった。高速道路だけでなく、インフラ全体でも「想定外」に備える取り組みが進んだはずだった。

 だが、東日本大震災の東京電力福島第1原発事故では、再び「想定外」という言い訳が繰り返された。

 「これから先、高速道路で何かあるたびに不可抗力とされてはたまらない」。提訴を決意した時、萬さんはこう語っていた。「想定外」を言い訳に、公共インフラの安全が損なわれてはならない-。萬さんの問い掛けを社会全体で共有できているかが問われている。

■原告団・羽柴弁護士に聞く

 阪神高速道路公団(現・阪神高速道路会社)を訴えた萬みち子さんの原告弁護団事務局長を務めた弁護士羽柴修さん(70)に裁判の経緯や意義などを聞いた。

 -萬さんはなぜ裁判を起こしたのか。

 「英治さんの無念を晴らすという強い信念があった。法廷では、被告側の主張などを聞き漏らすまいと、メモを欠かさなかった」

 -物証が乏しく、厳しい裁判だった。

 「鉄筋の強度不足など、公団の落ち度を立証してもらおうと協力者を探したが、公団の影響力が強いのか、ほとんど断られた。公団が震災後10日で現場の橋脚を撤去してしまったことも不利に働いた」

 -和解条項には「公団が万全な震災対策を期す」と明記された。

 「一人の遺族の義憤が高速道路の安全対策の不備を明るみに出し、『想定外』が許されないことを国に突き付けた意義は大きい」

 -2011年の福島第1原発事故、12年の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故などが相次ぐ。

 「国や事業者は新規事業への投資に目を奪われていないか。自然災害が頻発する今こそ、足元のインフラの安全が揺らいでいないかを点検すべきだ」

■被害減目指し新技術開発

 裁判を通じ、震災対策に万全を期すことを和解条項に誓った阪神高速道路公団(現・阪神高速道路会社)。阪神・淡路大震災級の地震で倒壊しない耐震補強や、被害を最小限に食い止める新技術を施した橋脚の導入などに取り組んでいる。

 橋脚に鉄板を巻くなどの耐震補強は2011年度までに終えた。16年の熊本地震で高速道路に隆起や陥没ができ、緊急輸送車両が通行不能になったことを踏まえ、17年度からは橋桁と橋脚のつなぎ目を補強し、強い揺れでも道路に大きな段差が生じない対策を施す。

 また7年前には、早期復旧を目的に独自開発した「鋼管集成橋脚」を大阪市の海老江ジャンクションで導入。4本の橋脚を鋼製の部材でつないで一体にした橋脚で、揺れによる損傷を部材に集中させ、破壊箇所を制御するという。部材交換すれば復旧が完了する。

 同社広報課は「震災を経験したからこそ取り組める防災・減災対策に今後も注力したい」としている。

2020/2/22

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