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武田英雄署長から署長感謝状を受け取る百合田京之介さん=東灘署
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武田英雄署長から署長感謝状を受け取る百合田京之介さん=東灘署
特殊詐欺被害を未然に防ぎ、署長感謝状を受け取った百合田京之介さん=東灘署
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特殊詐欺被害を未然に防ぎ、署長感謝状を受け取った百合田京之介さん=東灘署

 家電量販店「エディオン御影店」(神戸市東灘区御影本町4)で4月、「パソコンのサポート」名目で高額な電子マネーカードを買いに来た高齢女性を若手の店員が接客し、詐欺被害を食い止めた。端緒は、女性が持っていた手書きのメモだった。 

 ■「グウグル」「れじ」

 東灘署によると、4月25日午後2時半ごろ、78歳の女性が来店。サービスカウンターを訪れ、応対した従業員の百合田京之介さん(24)に、この店で電子マネーが買えるか尋ねた。

 女性は、探している電子マネーの種別を説明できず、手に持っていた自筆のメモを百合田さんに渡した。そこには、こう走り書きされていた。

 「グウグル」「コンビニ」「買う」「れじ」

 不規則に並ぶ単語を見て百合田さんは察した。「誰かに頼まれたんだな」。メモの内容を総合すると、欲しいのは「グーグルプレイカード」のようだが、20万円という金額も気になる。何に使うのか聞くと、女性は「パソコンのサポート」だと答えた。

 百合田さんはパソコンが趣味で、こういう詐欺の手口があるのを見聞きしたことがあった。仕事でも「不具合がある」と店舗に持ち込まれたパソコンを直すことがあるため、サポートの内容や担当者の名前を詳しく聞いてみた。

 すると、女性はどれも「分からない」と言った。

 ■怪しむ理由

 詐欺を直感した百合田さんは「サポートとは全く違う悪い人が、お金をだまし取ろうとしている可能性があります」と伝えた。

 百合田さんは「例えば」とエディオンのサポートメニューの料金表を見せた。同店では料金をプリペイドカードで支払ってもらうことはなく、電話でも担当者は必ず名乗ると説明した。自分が「おかしい」と感じる根拠を具体的に示して女性を説得し、上司を通じて110番した。

 東灘署によると、女性は自宅のパソコン画面に「5種類のウイルスに感染しています」との警告が表示されたため、指定の問い合わせ先に電話したところ、ウイルス駆除のために5万円分の電子マネー4枚を購入、送金するよう指示されていたという。

 ■店のスタイル

 東灘署は5月下旬、百合田さんに署長感謝状を贈呈した。武田英雄署長が「ギリギリのところでよく止めてくれた」とたたえ、中井秀樹副署長は「ぜひ警察官になってほしいぐらい」とラブコールを送った。

 百合田さんは「こちらが一方的に勧めるのではなくまずはじっくりニーズを聞き出す、店全体で取り組んでいる接客スタイルをそのまま生かせた」と話し、「女性が僕の話をきちんと聞いてくれたおかげ」と振り返った。

 東灘署管内では今年1~4月、前年同期の3倍に当たる12件(被害総額約1080万円)の特殊詐欺被害が確認されている。

 女性が今回だまされそうになった、パソコンのサポート名目での被害は、昨年の1~4月には1件も見られなかったが、今年は同時期で既に7件に上り、手口別の最多を占める。昨年目立っていた還付金名目やキャッシュカード詐取(いずれも2件)に比べても際だって多いという。(井上太郎)

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)

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