旦旦的廿年(タンタンの20年)
中国の高山地帯に分布するジャイアントパンダにとって、神戸の夏は暑い。
王子動物園のほぼ真ん中にあるパンダ舎。その屋外運動場にある丸太組みのやぐらの日陰で、タンタンが短い手で頭を抱えていた。暑さに耐えているのかと思ったら、眠っている。
6月下旬。午前10時すぎ。気温は27度超。
目を覚ますと、涼を求めてミストシャワーの周りをぐるぐると歩き回った。
獣医師の谷口祥介さん(37)は「平時のタンタンは1日のうち7~8時間ほど食事にあてる」というが、屋外にいたら食欲が進まない。体調管理のため、気温が26~27度になると涼しい屋内に移動させる。
神戸で迎える夏は今年で20回目だ。
太陽が高く昇ったころには、涼しい場所に移動できると知っているかのように、通用口の前にぴったりとへばりつく。タンタンを見るために訪れた来園者には目もくれない。見せるのはお尻ばかりだ。
「こっち向いて」と声が上がるかと思いきや、聞こえてきたのは「かわいい~」「ありがと~」という黄色い声ばかり。この反応をもらえることもお見通しのようだ。
念願かなって屋内に移ると、落ち着いた表情で竹をむしゃむしゃ。「よく食べてよく眠る。それが元気の証し」と飼育担当者。
水害でたくさんの人を苦しめた梅雨が明ければ、夏本番。神戸で最後の夏を迎えようとしている。(谷川直生)
2020/7/16-
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