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旦旦的廿年(タンタンの20年)

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目薬をするタンタン。じっとしていられたらリンゴがもらえる(王子動物園提供)
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目薬をするタンタン。じっとしていられたらリンゴがもらえる(王子動物園提供)

 前回に続き、タンタンの「ハズバンダリートレーニング」を紹介したい。日々の健診を嫌がらずに受けるための「受診動作訓練」のこと。「苦労はたくさんありました」と飼育員はしみじみ語る。

 梅元良次さん(38)さんと吉田憲一さん(52)は約10年前、中国四川省にある雅安(があん)パンダ保護研究センターで3週間、繁殖の研修を受けた。そこで初めてハズバンダリートレーニングを知った。

 すごい! これなら麻酔を打たずに健康チェックができる。早速現地スタッフに教えを請いたが、やり方はばらばら。結局、何が正解か分からずじまいだった。

 当時、日本でも始まったばかりらしく、参考文献は見当たらない。どうしよう…。2人は発想を変えてみた。「採血したいからこう動いて」ではなく、「タンタンのこの動きはこれに活用できないか」と。

 「無理強いはさせない。ストレスをかけないのが大切」と梅元さん。つかむ動作を、採血や血圧を測る動作に応用したり、頭上のおりの格子をつかませ、触診できる姿勢にしたり。採血ができるようになるまで1年ほどかかった。

 「あの時はうれしかった。あの子の頑張りが実った瞬間です」

 「そこからはスムーズ。かしこいなぁと思いますね」と梅元さん。今では約15種類の動作ができるから診察もスムーズだ。気分が乗らずに失敗しても、気分転換した後に再挑戦してもらう。

 「できないまま終わると、それでいいと思われてしまうので」

 タンタンとのトレーニングもあと少し。「帰る日まで、あの子の健康のために続けます」と梅元さんは話す。(坂井萌香)

2021/2/13
 

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