旦旦的廿年(タンタンの20年)
不安は的中した。
16日はタンタンの25歳の誕生日。貸与期限が7月に切れ、本当ならふるさとの中国で迎えるはずだった。だが、新型コロナの影響で飛行機が止まり、神戸で祝うことができる最後の記念日だ。
だから飼育員はがんばった。ケーキの土台は400キロの氷。今年は特別に2層にして、好物のリンゴやブドウ、淡河の竹をふんだんに盛り付けた。過去最大級のバースデーケーキだ。
午前11時前、誕生日会が始まった。昼のニュースでかわいい姿を速報しようと、40人近い報道陣が待ち構えていた。
そこへ、タンタンがひょこっと顔をのぞかせた。だが入り口で尻込み。異変には昔から敏感だ。ケーキには目もくれず、周囲をうろうろ。ついにはお気に入りの寝台でごろり。そのまま昼寝を始めてしまった。
ああ…。まさかの行動に、カメラマンからため息が漏れた。
「あのタイミングで寝てしまうとは。でも嫌な予感はあったんです」と飼育員の吉田憲一さん(51)と梅元良次さん(38)。
早朝は機嫌が良かったのに、2人がタンタンを放置してケーキの準備に夢中になりすぎ、不機嫌になったようだ。
準備で大きな音を出したことや、大勢の職員が獣舎に出入りしたことも原因。会の直前、おりの隅っこで動かなくなってしまった。
「警戒させてごめん」と2人。約20分後、やっとケーキに歩み寄り、好物をむしゃむしゃ。
「誕生日おめでとう! 20年間ありがとう!」。飼育員の思いはきっとタンタンに伝わっている。(谷川直生)
2020/9/17-
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