旦旦的廿年(タンタンの20年)
タンタンには元々、手頃な石やニンジン、タケを抱きしめる行動が見られた。胸にぎゅっと抱いて離さず、動かない。大きさはだいたい赤ちゃんと同じサイズ。
この行動は毎年6~8月に見られ、1日数時間抱いている日もあるという。
「偽妊娠の行動の一つで、赤ちゃんに似ている物を抱いたりなめたりする行為です。パンダは受精していなくても、妊娠した状態になることがあります」と獣医師の谷口祥介さん(38)が説明してくれた。
王子動物園によると、国内で赤ちゃんをあやすような行為は確認されておらず、海外でも米国とオーストラリアの動物園で事例があったぐらいという。タンタンは出産後、ホルモンバランスが崩れ、期間が延びることもあった。
「抱いてる間は餌を食べないので、体重が落ちる。健康面でも良くないんです」と谷口さん。高齢な上、運動量も減り、放っておけない。そこで手頃な石をどけたり、餌を通常より小さくしたりした。だが、ニンジンやタケをちょうどいい大きさにして抱きしめてしまうこともあるという。
「出産を経験し、あの子は本当に母性が強いんだなって感じる。でも、ごはんは食べてくれないと…」と飼育員の梅元良次さん(39)。
赤ちゃんが死んで13年。「出産後は本当にいろいろあったけれど、飼育員として成長もできたし、感謝しかない」と振り返る。
赤ちゃんを抱いた4日間が忘れられないのかな。子どもパンダに間違えられるほどかわいいタンタンだけど、立派な母としての一面も持っていた。(坂井萌香)=この稿、終わります=
2021/5/20-
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