旦旦的廿年(タンタンの20年)
タンタンの好物は言うまでもなく新鮮な竹だ。
神戸市北区淡河町産の竹が、タンタンの胃袋をつかんで離さない至極の逸品であることは、タンタンのファンなら誰でも知っている。
では、こちらはどうだろう。王子動物園の中にも、タンタンのための「竹林」がそこかしこに広がっていることを。
ジャイアントパンダは春先に発情期を迎え、食欲が旺盛になる。タンタンが“地産地消”するための園内栽培は、その時期に食べ頃を迎えるネマガリダケとホテイチクが計6カ所ある。秋が旬のシホウチクも1カ所ある。
ホテイチクはいつ植えられたか不明だが、ネマガリダケとシホウチクは4、5年ほど前に今の担当飼育員が苗を植えたそう。以来、雑草の処理や間引きなどの手入れを欠かさない。
飼育員の吉田憲一さん(54)は「初めて食べてくれたときはめっちゃうれしかったなぁ」と思い出す。
今年も4月に入り、春の2種がぽこぽこと頭を出し始めた。
特に初物のタケノコには目がないタンタン。右手でつかみ、器用に皮をむいてむしゃむしゃ。
飼育員が「よしよし」と思っていると、急に知らんぷりが始まる。「グルメ」なタンタンが気分や季節で味の好みが変わるのはいつものことだ。
「今日はあかんなと思ったら、次はちょっと細いのにしてみる。それで食べてくれたら気持ちが通じたようでうれしい」と吉田さん。
タケノコが終われば、次は竹の若葉の季節がやってくる。これも好物の一つ。タンタンの好みを模索する日々は続く。(谷川直生)
2023/5/12-
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