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旦旦的廿年(タンタンの20年)

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観覧中止期間中、屋内の寝台でごろごろするタンタン=11月24日、王子動物園(同園提供)
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観覧中止期間中、屋内の寝台でごろごろするタンタン=11月24日、王子動物園(同園提供)

 王子動物園から残念な知らせが届いた。

 11月22日から、タンタンの観覧が当面中止になったという。園によると、理由は「体調管理のため」。心臓疾患の病状はというと、体液がたまるなどの循環不全の状態で食欲や運動量の低下がみられるという。

 実は、観覧中止は初めてではない。

 10月21日午前。子ども向けに催されたバードショーの取材で園を訪ねた記者は、入場ゲートでアナウンスを聞き、どきっとした。

 「本日はタンタンの観覧を中止します」

 慌てて広報担当の木下博明さん(50)に尋ねると、「大丈夫ですよ。元気です」と返ってきた。「一応、大事を取りました」

 タンタンの体調不良は6月下旬頃から続く。そんな中、この日は朝からいつもより運動量が少なかった。ちょっとした制約さえもタンタンの負担になる-。スタッフは考えた。

 制約その1。観覧時間中、タンタンはガラス張りの屋内獣舎にいないといけない。なので、好きなときに、人目につかない寝室でごろごろできない。

 制約その2。飼育員が竹などの餌を交換する間、「高齢でも猛獣」のタンタンは隣の寝室にいったん引き上げる。新しい竹が置かれ、飼育員が出ていった後で、またすぐ観覧用獣舎に戻るのだ。

 細かいことだが、「ストレスがかからない、とは言い切れない」と木下さん。午後の観覧再開も検討したが、念のため休ませた。

 観覧中止を知らせるこの日のツイッターの投稿には、写真とともに健在が明記されたこともあり、「タンタンファースト」などと、園の判断を好意的に受け止めるコメントが相次いだ。園内にいた女性ファンは、サラリーマンの「有給休暇」に例えてこう付け加えた。「長年ためた分、思う存分消化していいのよ!」

 このときは2日後に観覧が再開された。今回の観覧中止は既に11日間に及んでいる。

 心配は募るが、原因はあくまで体調「不良」でなく「管理」という。園は「トレーニング室に入ってきてくれず、診察や検査を十分にできていない」と、多分にタンタンのご機嫌の問題もあると強調する。体調を把握し、可能と判断できれば「観覧を再開する」そうだ。

 たっぷり「有給休暇」を消化して、また元気な顔を見せてほしい。(井上太郎)

2021/12/3
 

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