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旦旦的廿年(タンタンの20年)

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トレーニングがうまくいかず、頭を抱えるタンタン(王子動物園提供)
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トレーニングがうまくいかず、頭を抱えるタンタン(王子動物園提供)
トレーニングの成果。右腕を前に出し血圧を測る(王子動物園提供)
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トレーニングの成果。右腕を前に出し血圧を測る(王子動物園提供)

 パンダ舎の一番奥に、トレーニング用の一室があった。大きなおりや注射器、レントゲンの機材が置いてある。

 ところで、何を鍛えるの?

 「筋トレではなく、タンタンの健康チェックが目的です」と獣医師の谷口祥介さん(38)が教えてくれた。

 「ハズバンダリートレーニング」というらしい。タンタンが日々の健診を嫌がらずに受けてくれるための「受診動作訓練」だ。毎日閉園後、検温、触診、口腔(こうくう)内のチェック、採血、さらにレントゲンのための練習をしている。

 使うのは、大好物のリンゴと、「カチッ」と音の出る訓練用器具「クリッカー」。口腔内を調べるには口を大きく開けてもらわなければいけない。訓練では、縦長にカットしたリンゴを口元に運び、大きく口が開くと、「カチッ」と鳴らしてリンゴをあげる。「クリッカーの音がすれば大好物がもらえる」と学習させ、健康状態を見るための動作をさせるという。

 「タンタンは割と、こうかな、こうかなと自分でいろいろ動いてくれます。賢い子です」と飼育員の吉田憲一さん(52)。どうしても分からないときは、おりに手をついて下を向き「もうわかりません…」と困るんだとか。

 一連のトレーニングは約10年かけてできるようになった。最近は通常の健康チェックに加え、高齢のジャイアントパンダがなりやすい高血圧、心臓病、歯のすり切れ予防にも欠かせない。

 こつこつ毎日。飼育員との日々の努力がタンタンの健康を支えている。(坂井萌香)

2021/1/16
 

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