旦旦的廿年(タンタンの20年)
心臓疾患と分かった春以降、トレーニング室での診察がタンタンの日課だ。当初は戸惑っていたが、次第にうまくこなせるようになった。何なら、タンタンのほうから進んでトレーニング室にやって来ることもある。
さすがは「神戸のお嬢さま」。えらい。賢い。と思いきや、飼育員の梅元良次さん(39)の目はごまかせない。「ご褒美が欲しいだけでしょう」
ツイッターに投稿された写真を見る。トレーニング室のおりに前脚をかけ、頭を下げるポーズ。何かのアピールらしい。隙間から鼻を突き出すパターンもあった。
漫画のように吹き出しをつけるなら「早く○○~」。○○に入るのは「検査して」か、「リンゴちょうだい」か。園の公式見解は後者だ。
理由はともかく、鋭い爪を隠さずに訴える姿は、いつしかツイッター上で、ファンたちにこう名付けられた。圧力をかけるタンタン。略して「圧タン」。
トレーニング室では図らずも、圧タンがやりやすくなる環境整備が進んでいた。
エコーや聴診中は、前脚でおりをつかんで立つ。ずっと顔を上げているのは大変そう、ということで、おりの中央付近、ちょうどタンタンの顔の高さに「あご置きバー」を新設したのが10月初め。「今度は前脚がずり落ちてる」と異変を見逃さなかったスタッフの提案で、左右に1本ずつの「前脚置きバー」が加えられた。
結果、気軽に圧タンができるように。約3週間観覧が中止されていた間も「毎日やってます」(広報)。スタッフが出勤するなり、「何かください~」と言いたげに、おりに顔をめり込ませて待っていたこともあるそうな。(井上太郎)
2021/12/15-
(37)マイ竹林 好物のタケノコ園内栽培
-
(36)最高齢 「普段通り」の飼育大切に
-
(35)ついに… 歩幅に合わせ、手作り階段
-
(34)寝正月 寝台の上でのんびり
-
(33)ようこそ神戸へ【下】名前公募、最多は「短短」だった
-
(32)ようこそ神戸へ【中】3組のペアから自分たちで選ぶ
-
(31)ようこそ神戸へ【上】「震災復興にパンダを」市が誘致
-
(30)国内のメスで最高齢 今秋27歳、人間なら80代
-
(29)パンダの骨格 ARアプリで観察体験
-
(28)今年もよろしく 契約延長で穏やかな1年に
-
(27)昼夜逆転? 観覧再開も夜更かしに
-
(26)圧タン 飼育員に「リンゴちょうだい」
-
(25)有給休暇 体調万全の観覧再開期待
-
(24)続・パンダ団子 保存しやすい「四角」に
-
(23)入る入る詐欺 体調回復し、悪知恵発揮
-
(22)パンダ団子 投薬治療で数年ぶり復活
-
(21)13年前の出産(下) 母性の強さ行動で示す
-
(20)13年前の出産(中) 雄のコウコウも死ぬ
-
(19)13年前の出産(上) 3日後に死んだ赤ちゃん
-
(18)心臓疾患 帰国の時期、不透明に
-
(17)飼育員の思い 自然な動き活用し健診
-
(16)健診訓練 失敗すれば頭抱え悩む
-
(15)腹時計 1日6回正確に反応
-
(14)公式ツイッター 人気画像は飾らない表情
-
(13)初対面 パンダ記者になります