旦旦的廿年(タンタンの20年)
王子動物園が世界から称賛された20年間にわたる行動研究。この研究は、タンタンの「妊活」にとって重要な意味があった。
ジャイアントパンダの雌の発情期は年に1回、排卵日はたった1日しかない。
動物園の人気動物では、キリンが約2週間、ライオンが20~50日周期で発情するのと比べると、極端に少ない。
こんな報告もある。中国の論文によると、自然交配の場合、尿中の発情ホルモンの濃度が最大値を示してから12~24時間以内に最初の交配をした雌の出産率は76%。だが24~36時間以内になると51%まで下がる。人工授精では24時間後には0%になった-という。
谷口祥介獣医師(38)は「いかに発情のピーク、つまり365分の1日を割り出せるか。それがパンダ繁殖の鍵」と説明する。
一般的には発情ホルモンの濃度変化などから排卵日を推定する。同園は、より精度を高めるため、タンタンが食事と運動に費やす時間にも着目した。
平時のタンタンは1日のうち7~8時間を食事に費やし、1時間半~3時間は獣舎内を動き回る。
一方の発情期。いつもの食欲がなくなり、ピーク時には食事が1時間未満、運動が7~8時間に変化するという。
同園は行動記録から、食事と運動の時間が逆転する「クロス日」の平均11日後が発情のピークと分析。このタイミングで人工授精する王子動物園流の妊活方法を編み出した。24時間の粘り強い行動記録と分析の成果だった。
そしてタンタンは2007年と08年の2度、妊娠に至った。(谷川直生)
2020/8/19-
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