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交付請求者は「第三者」とあり誰か分からない…=三田市内
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交付請求者は「第三者」とあり誰か分からない…=三田市内

 「あなたの住民票の写しを第三者に交付しました」。兵庫県三田市からそんな通知が自宅に届いた-と、市内の男性(60)から神戸新聞社に連絡があった。戸籍情報の不正取得を防ぐために市が設けた「本人通知制度」に基づく通知だった。しかし「誰がなぜ取得したか分からず、気味が悪い」と男性は戸惑う。調べると、県内の全41市町が同制度を導入しつつも、その運用は自治体によってまちまちだ。みなさん、どう考えますか? 本紙「スクープラボ」で意見を募ります。(山脇未菜美)

 昨年7月、男性宅に届いた市役所からの書類は3枚だった。「本人通知書」と書かれ、妻、娘と家族3人分の住民票の写しが誰かに交付されていた。請求者は「第三者(個人)」とあるだけで、誰が何の目的で取得したかは分からない。

 三田市の本人通知制度は2012年に始まり、本人でない個人、法人が戸籍情報を取得した場合、制度に登録した人に前述のように通知してくれる。登録者は今年1月末時点で869人。男性は4年前、地域の人権講座で制度を知って申し込んだという。

 住民票や戸籍謄本は原則非公開で、交付は本人や親族に限られるが、委任状を持つ人のほか、弁護士や司法書士といった「八士業」は請求が認められている。だが、男性は突然の通知に「思い当たる節はない」と話す。数年前に車のローンを組んだくらいで財産を調べられるような借金はなく、相続問題もないという。

 過去には行政書士が職権を悪用して被差別部落の出生を調べる事案が県内でもあったが心当たりはない。委任状が偽造されるなどして裏の個人情報ビジネスに利用されないかと不安が募る。請求者が分かれば手掛かりがあるかもしれないが、市は個人情報保護条例に基づき、個人情報は開示しないとしている。

 市内の不正取得は11年に4件あったが制度導入後はないという。市は「請求の目的は厳密に聞いて判断しているのであまり不安にならないでほしい」とする。ただ、代理人になりすましても書類が整っていれば交付するしかない可能性もある。

    ◇    ◇

■本人通知制度は2種類、事前登録型と被害告知型

 県内の全41市町で導入されている本人通知制度の運用方法は2種類に分かれ、現時点で併用している自治体はない。一つは、三田市のように事前に登録すれば第三者が戸籍情報を取得した時点で通知してくれる「事前登録型」。もう一つは不正が分かった後に通知してくれる「被害告知型」だ。

 事前登録型は09年に全国で初めて大阪府大阪狭山市が取り入れ、県内でも39市町が導入。不正の有無に関係なく本人に通知する半面、大半の市町は請求者を明らかにせず、県内では三木市だけが情報公開請求をすれば名前まで開示する。

 懸念されるのが、司法書士らの業務への影響だ。債権の仮処分手続きをするには戸籍が必要になるが、相手方に知られると財産を隠されかねない。また遺言公正証書の作成をする際に推定相続人の戸籍を取ったと分かるとトラブルになったりしかねないとする。

 こうした事情も踏まえ、神戸市と太子町は「被害告知型」を採用し、不正取得があれば登録制でなく全員に伝える。不正かどうかは伝えない「事前登録制」に比べて分かりやすいが、判決の確定などがなければ通知されないため、発覚が遅れかねないという課題もある。

    ◇    ◇

 神戸新聞「スクープラボ」で、本人通知制度を巡る体験やお考えを募集します。LINEで友だち登録(無料)した後に投稿できます。お寄せいただいた声は、記事に引用させていただく場合があります。性別、年齢、お住まいの市町も教えてください。ご参加をお待ちしています。

2020/2/27

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