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「政治」が目次で最初にある小学6年の教科書。手前は神戸市の副読本「しあわせ はこぼう」
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「政治」が目次で最初にある小学6年の教科書。手前は神戸市の副読本「しあわせ はこぼう」

 「前の学校と社会の教え方の順番が違い、小6の子どもが取り残されました」。神戸市内の母親から、こんな声が神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた。小学校社会科は本年度から「歴史」の前に「政治」を学ぶよう変更されたが、2学期に転入した神戸市立小は従来通り歴史から学んでいるため、空白が生じた、という。取材すると「神戸ならではの深い事情」があった。(鈴木久仁子)

 神戸市の小6が使う「日本文教出版」の教科書。目次は、「わが国の政治のはたらき」「日本のあゆみ」-の順。確かに政治や選挙、憲法などについて学ぶ公民的分野が歴史よりも先だ。

 小学校では2020年度、新学習指導要領が始まった。若者の政治への関心が低いことを背景に、6年社会の学習順序は「政治→歴史→国際」となり、大半の教科書の構成が変わった。

 投稿を寄せてくれた母親は、兵庫県内の他市から神戸市に転入。前の学校でも同じ教科書を使っており、転校後もスムーズに授業に入れると思っていたところ、歴史の授業が進んでおりいきなり室町時代だった。教員に理由を尋ねたが、「事情はよく分からない」と答えるだけ。「納得できません」と母親は首をかしげる。

    ◆

 神戸市教育委員会に問い合わせた。「はい、分かってます」

 そもそも学習指導要領と異なる順で教えても問題はない。同市教委は20年度、教科書とは違うことを踏まえつつ、歴史から学ぶよう示した指導計画のモデルを各校に伝えたという。

 同市教委の竹中美香子さんが理由を説明した。

 1995年の阪神・淡路大震災。子どもたちに記憶を継承しようと、当時を知る教員が中心になって副読本「しあわせ はこぼう」を作り、大切に使い続けてきた。

 「6年生には『被災者生活再建支援法の成立』を学んでほしい」と竹中さん。同法は自然災害で被災した個人への公的補償について定め、市民の働き掛けから生まれた。

 竹中さんは「前例のない誇るべき法律。震災が起きた1月17日前後、より身近に感じて『政治』の一部として学んでほしい。『政治』を後に回した方が、そのタイミングを合わせやすい」と力を込めた。

 最終的に授業の進め方は各校の判断だが、多くが「政治は後」。数校に聞くと、「市教委のモデルに従った」「後半に落ち着いてしっかり教えたい」などと理由を挙げた。

 こうした神戸の状況について、文部科学省教育課程課は「学習指導要領は順序を縛るものではない。どんな順番でも、新要領の趣旨である『自ら学び、考え、判断して行動できる』ような指導につながれば」とする。

 一方で、今回の投稿者が感じた疑問について、同市教委は「転入、転出児童に負担をかけてはいけない。個別指導を十分にできるよう各校に改めて徹底したい」と話す。

2020/11/29
 

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