風景を読む

神戸駅の高架下は時代を感じさせる雰囲気を宿す。名もなきドラマが生まれては消えた=神戸市中央区
■宵闇に溶け込む修羅の歴史
海港都市神戸の海の玄関口が神戸港だとすると、陸の玄関口はJR(元・省線)神戸駅(東海道線の終点にして山陽線の起点)である。宵の時分、神戸駅の山側広場を湊川神社方面に歩いてから駅舎をふり向くと、鉄筋コンクリートタイル張りの正面玄関の上に、ライトアップされた窓や時計、KOBE STATIONの文字プレートなどが視界に飛び込んでくる。それは、いまひとつ活気なく寂れている広場の雰囲気と対照的で、まるで闇の中に浮かび出た蜃気楼(しんきろう)のようだ。この不思議な印象は、幾重にも修羅をくぐり抜けてきた神戸の近代史の不思議さと通じているのかもしれない。
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