風景を読む

蚕を育てた養蚕農家の3階部分。床は板を渡しただけの簡素な構造。窓を閉め切ると隙間から光が漏れる=養父市大屋町大杉、ふるさと交流の家「いろり」(撮影・三津山朋彦)
■近代化の扉開いた“絹の道”
秋の夕暮れ、5年ぶりに上垣守国(うえがきもりくに)(1753~1808年)の墓所に参った。養父市大屋町蔵垣。生い茂る草に覆われていたが、墓石の側面に刻まれた事績は読み取れた。「不遠千里往来」。千里の往来も遠しとせず…。養蚕の父とされる江戸期の大研究者にはこの賛辞がふさわしい。各地を訪ね歩いて技術改良に打ち込んだ成果は名著「養蚕秘録」に結実し、翻訳されて海を超えて広まった。
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