風景を読む

須磨浦から塩屋に長い海岸線が続く。月の明かりが波打ち際に光跡を引く=神戸市垂水区塩屋町1から(撮影・三津山朋彦)
■海を想う人々の系譜刻む
在原行平、菅原道真、光源氏、平家一門。須磨は畿内と畿外の境界に位置する歌枕として、また、罪を得て都を追われた貴族たちの流離の場所として語り継がれてきた。それらの物語の多くは都で享受されたが、やがて現地からも伝承の発信がなされるようになる。1596年の大地震を契機に制作されたとされる「須磨寺参詣曼荼羅(まんだら)」には、漂泊芸能者や西国巡礼者の姿と共に、須磨を彩る多くの流離の物語が描かれている。そこには、中央から辺境に向けられた一方的なまなざしを切り返す、現地寺院のしたたかさを感じ取ることができる。
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