風景を読む

坂越のシンボル生島の眺め。手つかずの原生林は初夏のこの時期がもっとも美しいという=赤穂市坂越(撮影・三津山朋彦)
■進取の気性はぐくむ風待ちの浦
いつかまた見たいと念じてきた風景に再び身を置く。赤穂市坂越(さこし)。2キロの円弧を描く湾に浮かぶ生島(いきしま)に船で渡ろう。陸からは指呼の先、周囲1・63キロ、面積8・1ヘクタールの小島だが、時空を超えて語り継がれる存在感を宿す。聖徳太子の重臣で能楽の始祖とされる秦河勝(はたのかわかつ)の漂着伝説が残されている。世阿弥の「風姿花伝」に登場するその姿は意味ありげだ。〈摂津の国難波の浦より、うつほ舟に乗りて、風にまかせて西海に出づ。播磨の国坂越の浦に着く〉
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