風景を読む

大阪空港周辺では飛行機を大写しできる撮影場所が多い。住宅地が入るアングルは騒音問題も内包する=伊丹市藤ノ木1から(撮影・三津山朋彦)
■「明日はえぇ日」を信じて
住宅地のあちこちにフェンスに囲まれた空き地が虫食い状に広がっている。兵庫県川西市南部の久代(くしろ)地区。不動産会社の分譲地ではない。区画の隅には「運輸省用地」と刻まれた石柱。上空では大阪空港を離陸した飛行機が迫力ある機影で通り過ぎる。轟音(ごうおん)が近づき、ピークとなり、遠ざかる。発着制限は1日370回。騒音の波は午前7時から午後9時までひっきりなしに繰り返される。この空き地は移転補償跡地なのだ。騒音被害に苦しんだ住民の土地を国が買収したのは同市、伊丹市で計約千件、36ヘクタール。当時、住民たちはどんな思いで住み慣れた土地を離れたのだろう。
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