風景を読む

如意輪寺の石段下に椎名麟三が9~15歳まで過ごした旧居が今もたたずむ。夕暮れ時、屋根瓦の向こうに月が浮かんだ=姫路市書写(撮影・三津山朋彦)
■流離するヒロインの休息地
現在の姫路市街は、近世初期に築城された姫路城を中心とする城下町がベースになっている。しかし、それ以前、古代や中世においても、姫路市域は播磨一国の中心だった。14世紀半ばには、北西郊外の峯相山鶏足寺を舞台に、播磨一国の地誌や伝説を記述した「峯相記」が書かれている。15世紀には、赤松氏が書写山南麓に守護所(坂本城)を構えていた。書写山は10世紀に性空(しょうくう)上人によって開かれた天台宗の霊場だが、15世紀頃の南麓には東坂本・西坂本の門前町や、守護所を含む都市空間が形成されていたのである。
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