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元兵庫県議・野々村被告裁判

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初公判の傍聴券を求め、約600人が長蛇の列をつくった=24日午後1時48分、神戸市中央区、神戸地裁(撮影・岡本好太郎)
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初公判の傍聴券を求め、約600人が長蛇の列をつくった=24日午後1時48分、神戸市中央区、神戸地裁(撮影・岡本好太郎)

 「公判は開けません」-。裁判長はわずか8分で「終了」を告げた。政務活動費(政活費)の不自然な支出をめぐる事件で、24日に予定されていた元兵庫県議、野々村竜太郎被告(49)の初公判。注目の裁判は、“主役”欠席という異例の展開となった。1年5カ月ぶりとなるはずだった公の場。真相解明を期待し、傍聴券を求めて列をつくった市民らは落胆し、憤った。

 神戸地裁101号法廷。公判が始まる午後3時になっても、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた野々村被告の姿はなかった。

 「来ていないようですね」。壁の時計をじっと見ていた佐茂(さも)剛裁判長が、困ったように口を開いた。

 弁護人は「被告に出廷する意思はあった」と強調しつつ、突然の欠席について本人からのメールで知った内容を困惑気味に説明した。「10日ほど前から精神的に不安定だった」「朝、出廷しようと自宅を出た際、マスコミ関係者と鉢合わせし、パニック状態になった」…。

 昨年7月の「号泣会見」以後、公の場に姿を見せず、取材にも応じてこなかった野々村被告。24日には公式ブログを更新し、取材自粛を求めるなどマスコミの動きに神経をとがらせていた。法廷での弁護人の説明では、被告は自宅周辺などの取材がないという想定で出廷の意向を示していたという。

 「本日はいくら待っても来ないのか」(裁判長)。「はい」(弁護人)。検察側とも含め、やりとりは8分。佐茂裁判長は時折頭を抱え、最終的に公判延期を決めた。

 耳目を集めた裁判。この日、地裁前には80席分の傍聴券を求めて605人が列をつくり、多くの報道陣が詰め掛けた。

 傍聴人からは驚く声があがった。

 神戸市長田区の福留幸喜さん(66)は「あっという間。どこでどうしているのか気になっていたのに」と残念そう。神戸旅行に合わせて傍聴した福岡県の女性(29)は「福岡でも起こりうる事件。本人の言葉が聞きたかったのに、欠席は本人のわがままとしか思えない」。神戸市中央区の主婦(46)も「裁判が長引くのも税金の無駄遣い」と厳しかった。

 政活費の問題を追いかけてきた丸尾牧兵庫県議(51)は公判延期を知り、「法廷で問題の背景を明らかにするのは、公職にあった者の責務」と今後の出廷を求めた。

 一方、野々村被告が県議時代に自宅兼事務所を置いていた西宮市内の団地や大阪市内の実家。周辺には複数の報道関係者が朝から集まったが、近隣住民らは「最近、本人を見ていない」と口をそろえた。

    ◇

 井戸敏三兵庫県知事は24日の定例会見で、被告が欠席した初公判について「精神的に不安定ということだが、その通りではないか。また号泣されても困る」と語った。

【特集】野々村被告をめぐる報道はこちら

2015/11/24
 

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