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元兵庫県議・野々村被告裁判

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閉廷後、神戸地裁を出る野々村竜太郎被告を乗せたとみられる車=26日午後、神戸市中央区橘通2
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閉廷後、神戸地裁を出る野々村竜太郎被告を乗せたとみられる車=26日午後、神戸市中央区橘通2
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野々村竜太郎被告の初公判が行われる法廷内=26日午前、神戸市中央区橘通2、神戸地裁(代表撮影)
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野々村竜太郎被告の初公判が行われる法廷内=26日午前、神戸市中央区橘通2、神戸地裁(代表撮影)

 政務活動費(政活費)の不自然な支出をめぐる事件で、詐欺などの罪に問われながら、昨年11月の初公判を欠席した元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)のやり直し初公判が26日、神戸地裁(佐茂(さも)剛裁判長)であった。同被告は「虚偽の収支報告書を提出し返還を免れようとしたことはない」などと起訴内容を否認し、政活費の使途を問う質問には「記憶がございません」と繰り返した。

 地裁は同日、野々村被告を3月25日まで刑事施設に留め置く「勾留」を決定。逃亡の恐れなどがあると判断したとみられる。次回公判は2月22日の予定。

 野々村被告が公の場に姿を見せるのは、号泣しながら釈明した2014年7月の記者会見以来。被告人質問で同被告は、政活費の収支報告書に記載した日帰り出張について「覚えていません」と曖昧な供述に終始し、弁護側からも「県会議員時代の話で説明責任がある」と諭された。

 野々村被告は「昨年12月に記憶障害の可能性があると診断された」と主張し、医師の話として不安や緊張を要因に挙げた。

 警察の取り調べ終了後に検察官に提出した反省文について「(過去の政活費関連の事件で)起訴がなかったことから、反省すれば検事に理解されると思った」と説明する一方、「反省文はうそ偽りで非常に後悔している」と述べた。

 同被告は昨年11月24日に予定された初公判を欠席、神戸地裁は今月25日に強制出廷させる「勾引」の手続きを取っていた。刑事訴訟法は勾引の効力を裁判所に移送してから24時間と定めており、同被告はこの日の公判の休廷中に釈放されたが、地裁は2カ月間の勾留を決定。被告人を起訴後に新たに拘束するのは極めて異例という。

 起訴状などによると、野々村被告は11~13年度に計344回の日帰り出張をしたなどとして費用を架空計上し、政活費約913万円を詐取したとされる。

 野々村被告は「号泣会見」後に議員辞職。その後、在職中に受け取った政活費全額1834万円を返還した。

 【政務活動費】 議員報酬とは別に、地方議員の調査研究などに交付されるお金。2013年3月施行の改正地方自治法で、名称が「政務調査費」から変更され、選挙などを除く活動に使えるようになった。兵庫では県議会と34市町議会が交付しており、1人当たりの交付月額の最高は県議の45万円。

     ◇     ◇

【「逃亡」あると裁判所が判断】

 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)の話 捜査中に拘束されなかったのに、起訴後、裁判所の判断で被告人の勾留を決めたのは異例だ。

 マスコミ取材を理由に元政治家が裁判を欠席した事実を重く見て、今後も審理が空転するのを防ぎ、被告人が出席する法廷で真相を解明するためにも、裁判所は「逃亡」があると解釈したのだろう。

 元政治家が無責任な姿勢で勾留されたが、裁判所はあしき先例にするべきではない。被告人も今後は誠実に裁判に対応してほしい。

2016/1/26
 

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