エッセー・評論

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肉体派ピアニスト、稽古中に明石城櫓横を全力疾走(撮影・杉本明子)
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肉体派ピアニスト、稽古中に明石城櫓横を全力疾走(撮影・杉本明子)

肉体派ピアニスト、稽古中に明石城櫓横を全力疾走(撮影・杉本明子)

肉体派ピアニスト、稽古中に明石城櫓横を全力疾走(撮影・杉本明子)

 さて、新企画のコンサートパフォーマンスシリーズ第1弾「ときはいま」の副題を~明石城人魚之巻~と名付けた由来のお話である。

 両親の話によると私は2歳の時、明石公園を散歩中、お濠の中にドプンとはまったらしい。あっ、エリコが消えた!と思う間もなく、自らぷくっと浮き上がってきて、怪訝な面持ちで顔だけ水面上に出した姿は「リトル・マーメイド」のようで、父母の脳裏に未だ鮮やかに残像として焼きついているそうだ (親バカの愛らしさ)。

 時を経て数十年後、私は留学先のベルリンからコペンハーゲンへ移住した。「人魚姫」で知られる童話作家、アンデルセンが起居していた歴史的建物で、コンサートサロンのアートディレクターとして働くことになったのはもはや偶然ではあるまい。

 明石城人魚之巻。水から陸へ上がった「人魚」という設定のパフォーマンスの導線は、お濠に落ちた2歳の時から既に引かれていたのだ。人魚姫…。彼女は微笑しながら、私の右心房のあたりにヒッソリ棲息しているらしい。

 「姫」を付け加えるのは少々おこがましい年齢の人魚(姫)エリコだが、11月は3カ国で4演目10公演という、おそらく白眼を剥きっぱなしであろう超絶スケジュールが待っている。その中には、本当に白眼を剥いたところをパパラッチされた写真がそのまま公式ポスターになった公演もある。これが街中に貼られている以上、もはや来来来来生あたりまで嫁には行けぬであろう。

 しかし、どの作品も自分がゼロから起こした台本を元に、アーティストとしての我がままを貫き通して創り上げた愛おしい我が子たちである。数十人ではきかない仲間たちが、影に日向にドッシリとしんがりを務めてくれている。彼らの全力サポートのおかげで、私は芸術的憑依の世界に没入することが可能となっている。嗚呼、多謝。

 日本でも海外でも、行く先々での人々との国籍を超えた温かな邂逅を大事にしたい。次回の一日一エリコは、デンマークのコペンハーゲンからお届けします。

コンサートパフォーマンス「ときはいま」明石城人魚之巻インフォはこちら

2017/10/29
 

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