エッセー・評論

ピアニスト牧村英里子と世界のヒトビト

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伊勢参り日本チーム 「西屋」のパルオ大将こと原口雅之氏。2018年の干支、戌(いぬ)のラベルがついた日本酒と 流しそうめんを待ち受ける表情は、コンサート時よりも真剣(写真・Sigrun Gudbrandsdottir)
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伊勢参り日本チーム

「西屋」のパルオ大将こと原口雅之氏。2018年の干支、戌(いぬ)のラベルがついた日本酒と

流しそうめんを待ち受ける表情は、コンサート時よりも真剣(写真・Sigrun Gudbrandsdottir)

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伊勢参り日本チーム 「西屋」のパルオ大将こと原口雅之氏。2018年の干支、戌(いぬ)のラベルがついた日本酒と 流しそうめんを待ち受ける表情は、コンサート時よりも真剣(写真・Sigrun Gudbrandsdottir)

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「西屋」のパルオ大将こと原口雅之氏。2018年の干支、戌(いぬ)のラベルがついた日本酒と

流しそうめんを待ち受ける表情は、コンサート時よりも真剣(写真・Sigrun Gudbrandsdottir)

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  • 流しそうめんを待ち受ける表情は、コンサート時よりも真剣(写真・Sigrun Gudbrandsdottir)

 エリコが育った街を見たいと、今年も海外から多くの友人が神戸を訪ねてくれた。総勢21名。私自身が長期間日本を離れることが多い中で、なかなかの数字を叩き出したのではないだろうか。

 多忙の桶狭間を縫って、私たちは予定のやり繰りに奔走する。海外組の多くは約3週間の中型休暇を取って来るので、調整が大変である。日本で経験したい事は何か、事前にアンケートを実施しているが、知的好奇心の(異様に)高い我が友人たちのリクエストにどう答えてよいやら、頭を悩ませることもしばしばである。

「日本で経験したい事」リスト一例:北欧アーティスト編

・マキムラエリコ

・六甲山登山

・温泉

・茶の湯 (侘び寂びへの理解)

・愛宕念仏寺

・金継ぎ

・暗黒舞踏

・相撲

・瞑想

・前衛芸術家とのインタビュー

・脳科学者とのミーティング

 「日本で経験したい事」リストの筆頭に「マキムラエリコ」とあるのが泣かせる。同時に、「脳科学者とのミーティング」への取っ掛かりに皆目見当がつかないことにも泣ける。

 ハンケチーフで涙を拭うと、眦(まなじり)を決して私は誓う。この望み、友情の証として万難を排し叶えて見せようではないか。

 そこで私が最初に取る行動と言えば、日本全国津々浦々に住む友への泣きつきである。ここでまさかの他力本願。しかし、長年祖国を離れていた私は、日本のあらゆる事情に疎い。友が頼り。友だけが頼り。

 まもなく超行動派の日本の友から各方面に檄が飛ぶ。「六甲山」の向こう側、有馬「温泉」のお宿が予約され、一方では京都の「茶会」にご招待頂く段取りがつけられる。「愛宕念仏寺」には語学に堪能な友達が付き添うことになり、「金継ぎ」は友人の友人宅、「暗黒舞踏」はちょっと待って、「相撲」はオフシーズンなので次回のお楽しみ、「瞑想」は移動中、ミュージアムの創立者の孫である「前衛芸術家」とのインタビュー、「脳科学者」とは◯◯大学のオフィスで... とリクエストは恐ろしい勢いで次々と叶えられていく。

 「日本で経験したい事」ナンバーワンの「マキムラエリコ」は、ただひとりその中にぽつねんと取り残される。ハッと我に返り、私自身が「瞑想」してどうするのだ、と己れを叱咤激励して、また「迷走」を繰り返す日々。

 今年、数えきれないほどのご助力を頂いた中でも、とりわけ感謝の念に堪えないのは、大阪の居酒屋「西屋」のパルオ大将こと原口雅之氏とそのお友達、田中英明さん(ジェントルマン)であろう。

 神戸出身で20代の心優しきお友達、菜央ちゃんが連れて行ってくれた「西屋」で、私は両氏と初めて出会った。「西屋」は、客の要望に応じて季節を問わず流しそうめんを楽しませてくれる、私が最も好きな類のドライブ感満載なお店である。郷土料理もお酒も品揃え豊か。

 初来店の折、パルオ大将と、お客としてカウンターにいた田中さんに、もうすぐ来日する作家の友人と私は一体どこに行けば良いのか尋ねてみた。

 両氏は揃って「伊勢神宮」を推薦。更に話は怒涛のごとく進み、なんとお2人自らが車で伊勢参りに連れ出して下さることになった。

 総勢5名で出かけた伊勢参りの日は、台風18号が狙ったように近畿地方を直撃。されど、我ら関西人4名と遠く北の国から来た1名は、台風も言葉の壁も物ともせずに突き進む。

 神宮内の樹齢数百年の樹々に囲まれ、その圧倒的なまでの静謐と尊厳の中で、北からの客人は思わず涙した。それを見て、何時間も運転して連れてきてくれた田中さんとパルオ大将、両氏と引き合わせてくれた神戸ガール菜央ちゃんに改めて感謝の気持ちが湧いて出て、胸が熱くなってしまった。あゝ人情...。しかもよくよく考えれば、田中さんとパルオ大将とは会ってまだたったの2度目なのである!

 昨夜久々に、伊勢参り日本チームが「西屋」に集結。神戸女子2名、大阪男児2名。北の国に住む彼女が再来日を果たすのはいつだろう、次はどこへ行って何をしようと話が弾む。

 世界は間違いなく繋がっている。

    ■

西屋(大阪市北区鶴野町4ー4Bー103 TEL06・6377・0248)

2017/12/27

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