エッセー・評論

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「The Blackstock」オーナー、中畠大介氏 ティーカップで供された「エリコサマ魅惑カクテル」
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「The Blackstock」オーナー、中畠大介氏

ティーカップで供された「エリコサマ魅惑カクテル」

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ティーカップで供された「エリコサマ魅惑カクテル」

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 自慢ではないが、私は男性を見る「目」がない(注:この場合の男性とは、コイやらアイやらの対象となる殿方のことを指します)。その代わりと言っては何だが、大いに自慢出来る第2の「目」を持っている。すなわち、このヒトはオモシロイと第一直感で鋭く見抜く目である。今日はこの自慢の「目」について、音楽家らしくフォルティッシモ(非常に強く)で語ってみたい。

 関西での飲み場所を全く知らなかった無垢な私を、時々夜の街に連れ出してくれる楽しい飲み友達がいる。彼が紹介してくれた大阪は福島のパブの主を、私の自慢の「目」が射止めた。「The Blackstock」のオーナー、中畠(なかはた)大介氏である。

 東京で味わったあるクラフトビールの美味しさが忘れられず、関西でも飲みたいと騒いでいたら、いつの間にか大介氏のバーカウンターに座っていたというのが事の始まり。

 海外生活が長いヒトの常で、私の会話はいつも「結」から始まる。今回も「起・承・転(つまりビール)」についてすっ飛ばして結論からいくと、その夜の主役をさらったのは大介氏との捻(ひね)りの効いた大爆笑の会話であった。

 まだ30代前半というのに、酒愛好家たち、通称酔っ払いと飄々と渡り合い、カクテルを作り、また美味しい料理も作る大介氏。

 ワーキングホリデーを取り、カナダで1年、イギリスで2年過ごした彼の元には、海外からも多くの客が訪れる。働くスタッフも多国籍で、英語は勿論、多言語が飛び交うインターナショナルなパブ「The Blackstock」。

 またもや「結」から言うと、要するにみんな大介氏にイジられたくてここに集うのだ。彼独特の機智に富んだ会話に翻弄されながら、楽しく飲んで食べて話したくて仕方がないレギュラーゲストの何と多いことか。

 彼が「エリコサマ」と呼ぶ私も、おそらくその中の一人であろう。仕事でのミーティング、飲み友達との語らい、そしてフラッとおひとり様でも、日本にいる時は何かにつけて寄ってしまう、摩訶不思議な魅力に満ちたタイムレス・スポットなのだ。

 直近で参上した時、「エリコサマ」は大介氏への挑戦を込めて以下のようなミッションを発令した。

 ミッション

「今年も劇画タッチなドラマだらけで、エリコはエリコであることに疲れを感じている。エリコがエリコらしくエリコとして邁進するために、エリコに注入すべき『エリコサマ魅惑カクテル』を作ること。今すぐ」

 イジられたい、そして面倒くさい客の典型であろう。

 瞬時にレモンを絞り、紅茶を淹れる大介氏。そして、何の迷いもなく棚から何種類かの瓶を取り出し、シェイカーにそれぞれの液を注ぐや華麗に振り始める。

 最後にミントの葉を浮かせて彼がカウンターに置いた「エリコサマ魅惑カクテル」を、写真でご覧頂きたい。悔しくなるほど洒落て粋でオツな技を繰り出してくるのだ、この若いオーナーは。

 (薔薇の模様のティカップで供されたカクテルの秘密をコッソリ漏らす)

・レモンジュース

・ジン

・エルダーフラワーコーディアル

・紅茶

・クランベリージュース

・パッションフルーツのシロップが少々

・ミントの葉ふたひら

 本来パブなのだが、自由な発想で様々なイベントと出会いの場を提供するダイスケ氏。現在「The Blackstock」は、21世紀型のエクレクティックな国際サロンin大阪の道を独走している。

 パブを開いた動機は、言語の壁や文化習慣の差を越えて、日本がもっと世界への視野を広げてくれたらという、海外生活経験者ならではの想いから。「エリコサマ」の私見からは逆もまた然りで、海外からのゲストは彼のパブで日本についての多くの情報と知識を得てゆく。

 隣客とすぐに仲良くなれるのも、ここの店の大きな特徴。「私にも『エリコサマ魅惑カクテル』をお願いします」とオーダーをかけた右隣の美人のマリコ嬢。左隣の客は、自分はダイスケがダイスキなのだと世界に向かって叫んでいた。ちなみにその客は男性である。

 30代前半。軸のブレない男、中畠大介。勝負に打って出る年代に突入した彼が率いる「The Blackstock」。一度、酔って酔わされ、イジってイジられに行ってみてはいかがだろうか。

       ■ 

The Blackstock

大阪府大阪市福島区福島7-1-10 OK2番街

(ホームページはこちら)

2017/12/18
 

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