エッセー・評論

ピアニスト牧村英里子と世界のヒトビト

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マッツ・ミケルセン氏。徹底したプロフェッショナリズムと、人間としての優しさと温かさに、心からの尊敬の念を はたらいて、笑おう。スティーヴ・ウォズニアック氏のイラストが描かれたオリジナルバッグ
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マッツ・ミケルセン氏。徹底したプロフェッショナリズムと、人間としての優しさと温かさに、心からの尊敬の念を

はたらいて、笑おう。スティーヴ・ウォズニアック氏のイラストが描かれたオリジナルバッグ

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マッツ・ミケルセン氏。徹底したプロフェッショナリズムと、人間としての優しさと温かさに、心からの尊敬の念を

はたらいて、笑おう。スティーヴ・ウォズニアック氏のイラストが描かれたオリジナルバッグ

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 12月1日。いよいよ「東京コミコン2017」が開幕。

 ご存知の方も多いと思うが「東京コミコン」について...(ホームページはこちら)

 前日に秋葉原で揃えたコスプレ一式を着用するにあたり、10代のイット・ガールから念入りにアドバイスをもらい、準備に3時間かけた。世界最大級のポップカルチャーイベントにご招待頂いているのだ。こちらも最大級の敬意を払っての参加というのが筋というものだろう。

 ブルーの髪をたなびかせながら、自分歴史史上、最短のスカートを履いたピアニストエリコは、「似合う似合う」と三歩のけ反りながら私を鼓舞する優しいお友達に囲まれつつ、車に乗り込んだ。人生は一度きりだと言い聞かせながら、コスプレ制服のブレザーの皺を伸ばす。

 会場の幕張メッセの入り口には、初日というのに既に長蛇の列が出来ていた。未知の世界に足を踏み入れる際のスリルで、どうき・息切れが半端ではない。気つけに「救心」をあおりたい心地。

 私は世界中で相当数のイベントやコンサート、コンベンション、エキシビションに参加してきた。そして、人々を熱狂させること、感動させること、また逆に失望させることとは何かを学び、感じてきたと思う。

 東京コミコン会場は、うねるような正のエネルギーで満ちていた。子供の頃に憧憬の念で読んだコミックのヒーローになりきって、完璧なコスプレをした来場者たち。また、自分が味わった感動を次世代へ伝えるべく、お子さん連れのご家族も大勢いらっしゃった。

 その熱狂の渦の中に、俳優マッツ・ミッケルセンがいた。

 何千人ものファンと、写真撮影やサイン会に応じるマッツ。一人一人に話しかけ、肩を組み、手を取り、優しげにジッと目を見る。Q&Aに無二のウィットでもって答える。心のこもった彼の対応に涙を浮かべるファンの方たちを見て、私まで胸が詰まってきたので、慌てて外に出た。

 一瞬の隙を縫って、新鮮な空気を吸いにやって来たマッツと鉢合わせた。彼はほとんど声を失っていた。声はどこへいったのかと尋ねると、

 「ちょっとどこかへ散歩中だけれど、きっと帰ってくるから大丈夫」

 とかすれ声で微笑んで、またすぐに彼を待つファンの元へと戻っていった。

 マッツ・ミッケルセンを神だと言い切っても私に天罰は下るまい。

 もう1つ、コミコン開催中のエピソードを語っても構わないだろうか。生涯忘れ得ぬ出会いがあったのだ。

 開幕初日の夜にパーティが催され、そこで突然ピアノパフォーマンスをする機会を頂いた。演奏後、私は思いもよらぬ方から胸に沁みるスピーチと温かい奨励を頂戴した。その方とは、世界を変えた男、スティーヴ・ウォズニアック氏である。故スティーヴ・ジョブ氏らと共にアップルを設立した、通称「ウォズ」。今回、東京コミコン2017の名誉顧問として来日。

 海外ツアー、日本でのコンサート活動、その他多くの異文化・異分野交流をさせて頂いて生活している私は、傲慢ながら世界一の幸せ者だと思っている。しかし同時に、自分の中で澱のように溜まっていく精神の疲労がその濃度を増しているのも確かだ。それぞれの国で感じる混沌、矛盾、腐敗を抱えた21世紀に、そしてその中で生きる一ピアニストとしてのあまりにちっぽけな自分の在り方に、疑問が大きく膨らんでいく。

 そんな時、チャームとガッツ、エネルギーの塊のようなウォズニアック氏と出会って直接お話出来たことは、私の今後の生き方に改めて指針を与えてくれた、天からの恩寵だったと思う。

 幕張メッセでの3日間は、私にとってあらゆる意味で今年最大の経験の1つとなった。「東京コミコン2017」の総来場者数は、42、793人にのぼったそうだ。このような素晴らしい機会を与えて下さった関係者の皆さまに、心よりの感謝を送ります。

 師走ももう半ば。来年はいかなる年になるのだろうか。試練と新たな挑戦の間で揉みくちゃになりがら、今日もまた粛々とピアノに向かっている。

2017/12/12

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