戦争とひょうご記事一覧
太平洋戦争末期、水中で敵艦に体当たりする特攻隊員に志願し、出撃せずに終戦を迎えた兵庫県宍粟市の男性が、当時の体験や心境を初めて書き記した。「特攻に志願した人は皆、崇高な思いで死んでいった」と振り返り、「戦争を繰り返さないためにも、当時17歳の少年が死を覚悟するに至った心境を伝えたかった」と話す。戦後70年を経て吐露した胸の内は、手書きの原稿用紙85枚に及んだ。15日は70回目の「終戦の日」-。
宍粟市一宮町東市場の上山(うえやま)孝さん(87)。「記憶を書き残すのは今が最後」と思い立ち7月上旬から、ひと月足らずで書き上げた。
上山さんは、赤穂市の旧制赤穂中学(現・赤穂高校)4年だった15歳の冬、パイロット養成の海軍甲種飛行予科練習生を受験。1944年4月、西宮航空隊に配属された。
服装の汚れ一つで上官に殴られ、一人のミスで全員が罰を受ける。訓練は厳しかったが、「戦地では一人の失敗が全滅につながる」と団結が強まった。
だが時は、敗戦色濃い戦争末期。訓練期間を終えたものの、乗る飛行機がない。防空壕(ごう)を掘る作業などが続いた45年5月、分隊長に河原に集められた。
「敵の本土上陸を阻止するため、海軍は水中特殊兵器を開発した。乗員を熱望する者は二重丸、希望は丸、希望せずは三角を書け」
上山さんたちは指を切り、血で紙に二重丸を書いた。「沖縄のような地上戦を防ぎ、国民が助かるなら、命は惜しくなかった」と当時の心境を振り返る。
同年6月、山口県平生(ひらお)町の大竹潜水学校柳井分校に赴任。隣に、人間魚雷「回天(かいてん)」や特殊潜航艇「蛟龍(こうりゅう)」「海龍」の基地があった。特攻に向け、魚雷の構造などを学ぶうちに終戦を迎えた。「助かった、なんて気持ちは全くなかった」。しばらく、ぼうぜん自失の日々を過ごしたという。
戦後70年間、「体験は恥部のようで語る気がしなかった」と上山さん。執筆を終え、「当時の思いをようやく残すことができた。これで戦後が終わった気がする」。重い荷物を下ろしたように、安堵(あんど)の表情を見せた。(古根川淳也)
2015/8/14軍靴の響き生々しく 本紙ニュース映画を鮮明修復2016/1/4
引き揚げ記録デジタル化 神戸の団体 足跡後世に2015/12/29
女性が見た“戦場”元従軍看護婦・近藤文子さん2015/12/9
空襲、学徒動員…青春時代の戦争記憶冊子に 日ノ本学園高同窓生2015/11/24
学徒出陣 入学者の8割超 神戸大の前身校 学籍簿など洗い出し 2015/11/1
特攻隊員を追悼 鶉野飛行場跡で平和祈念祭 加西2015/10/5
大聖寺、戦争の惨禍後世に 平和祈る像 屋上に建立2015/9/24
「ひどいもんやった」空襲、抑留 戦争体験語る 篠山の男性3人講演2015/9/23
「生き方」を問う戦没画学生作品 美術館主 窪島さん講演2015/9/18
元軍国少女80代の後悔 3人の文章、ネットなどで反響2015/9/14
戦時時中神戸から豊岡へ疎開体験の2男性が講演会2015/9/10
戦時中、陶器地雷を丹波焼で量産 篠山の丹波焼工房2015/8/24
「李香蘭」めぐり講座 戦中の宣伝映画も上映へ 神戸2015/8/22
原爆の傷、カルテには「good」 米国の記録に神戸の女性憤り2015/8/20
終戦の日 淡路島各地で追悼行事 平和誓う2015/8/16
安保法案に反対するママの会 廃案目指しビラまき2015/8/16
終戦に日 宝塚で平和祈念式典 非戦の誓い新たに2015/8/16
香美・奥佐津地区で「戦没者招魂祭」 遺族ら35人参列2015/8/16
元海軍飛行予科練生らが対談 戦争にならない歴史伝え 加古川2015/8/16
平和の思い新たに 戦争の悲惨さ語り継ぐ 三田の男性2015/8/16
戦没者追悼式 不戦誓う 遺族ら700人参列 姫路2015/8/16
終戦の日 明石市内各地で追悼行事 平和誓う2015/8/16
合同戦没者追悼式 遺族ら100人出席 三木2015/8/16
終戦から70年 節目の1日は厳かに2015/8/15
赤穂で唯一空襲にあった「せりあ丸」 住民グループが企画展 2015/8/16
戦後70年、空襲体験者が講演会 神戸市立図書館2015/8/15
全国戦没者追悼式 天皇陛下のお言葉全文2015/8/15
全国戦没者追悼式 安倍首相の式辞全文2015/8/15
戦没者追悼式典 戦争体験者、思い継ぐ世代が鎮魂の祈り2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】中国から南方へ転戦 足立賀男二さん(94)2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】学童疎開船、生還体験語り継ぐ 西林弘子さん(82)2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】海軍航空隊整備兵 中野芳男さん(90)2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】姫路で空襲を体験 金沢忠義さん(82)、金井正彦さん(80)2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】三木へ疎開、極貧に耐え 岡本敬子さん(79)2015/8/15
【戦後70年 体験者の話】神戸空襲 わが家は影も形もなく2015/8/15
大戦末期、神戸中心部に地下軍需工場 秘密裏に阪神電鉄の線路接収2015/8/14
「命惜しくなかった」17歳で特攻志願の上山さんが手記 宍粟2015/8/14
「いかにぶざまで無意味なことか」 中国戦線に参加、豊岡の井垣さん2015/8/14
空襲で2度自宅焼かれる 柏原の内田さん「夜が明けたら焼け野原」2015/8/14
戦後70年に当たっての安倍首相の談話全文2015/8/14
安倍談話「おわび」記述 歴代内閣の立場継承2015/8/14
「命惜しくなかった」17歳で特攻志願の上山さんが手記 宍粟2015/8/14
夫へ「幸せです」 孫、ひ孫と追悼式で報告へ 子残し戦地で先立たれ2015/8/14
B29撃墜0.9% 本土決戦へ戦闘機温存 兵庫県内空襲で日本軍2015/8/14
惨状伝える父の手紙「新型爆弾ノ攻撃、娘ら火傷死」 長崎で被爆2015/8/9
兄の被爆死伝えたい 原爆で焦げた弁当箱今年も公開 神戸の男性2015/8/8
南方で沈没、重巡洋艦「加古」 故郷の社で慰霊 加古川2015/8/7
原爆の惨禍語り継ぐ 兵庫2人含む「伝承者」50人が活動2015/8/7
70年の原爆の日 病魔と闘い逝った母思う 尼崎の畑井さん2015/8/6
原爆遺児の母 運命を全う「進むべき道精いっぱいに」萬みち子さん2015/8/6
試練、愛深めた母子 焼け跡の神戸2人の原点2015/8/6
「戦争の苦しみはずっと続く」 明石城西高新聞部が体験者など取材2015/8/6
広島原爆投下から70年 被爆ピアノでコンサート 丹波市2015/8/5
6日広島、9日長崎 原爆投下70年-消えぬ記憶2015/8/5
平和の灯 高校生つなぐ 自転車で全国へ 神戸で非戦、復興誓う2015/8/4
生田神社の鳥居 86年の歴史に幕 伊勢神宮で戦災免れ、震災の神戸へ2015/8/4
香住沖で海防艦撃沈 犠牲者の慰霊祭 香美2015/8/3
終戦間際に犠牲 「住吉丸」予科練生82人悼む 南あわじ2015/8/3
伝える被爆者の「重荷」 後遺症におびえ差別と戦った 芦屋の千葉さん2015/8/3
皇居地下防空壕「御文庫付属室」映像公開 「聖断」の舞台劣化激しく2015/8/1