成人未満
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の記録は、誰にも知られず捨てられていた。当時14歳で逮捕された「少年A」に関する証拠となる文書が消え、「Aは冤罪(えんざい)」との陰謀論もささやかれた。保存と廃棄の線引きが国民感覚と乖離(かいり)し、司法手続きに疑念が芽生えた。最高裁は5月の調査報告で、外部の意見を事件記録の保存に反映させる「第三者委員会」の設置を打ち出した。その存在は、適切な記録保存に実効性を持たせる「鍵」となる。

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の記録は、誰にも知られず捨てられていた。当時14歳で逮捕された「少年A」に関する証拠となる文書が消え、「Aは冤罪(えんざい)」との陰謀論もささやかれた。保存と廃棄の線引きが国民感覚と乖離(かいり)し、司法手続きに疑念が芽生えた。最高裁は5月の調査報告で、外部の意見を事件記録の保存に反映させる「第三者委員会」の設置を打ち出した。その存在は、適切な記録保存に実効性を持たせる「鍵」となる。

成人未満失われた事件記録成人未満 第4部 少年事件記録の行方
重要な公文書を国立公文書館に移管すると定めた公文書管理法。その制定に道筋を付けた福田康夫元首相は、日本の資料を、ワシントンにある米国立公文書館で探した経験があるという。わずか30分で資料は提供され、他国の文書さえ収集する米国の姿勢に圧倒された。「ちっぽけ」な日本の国立公文書館に問題意識を抱いたのが原点にあると、2018年に日本記者クラブの研究会で語った。事件記録の廃棄問題を受け、最高裁は5月、同館への記録移管を検討するとした。だが司法文書の保存で、日本は依然、米国に大きな後れを取っている。

 重要な公文書を国立公文書館に移管すると定めた公文書管理法。その制定に道筋を付けた福田康夫元首相は、日本の資料を、ワシントンにある米国立公文書館で探した経験があるという。わずか30分で資料は提供され、他国の文書さえ収集する米国の姿勢に圧倒された。「ちっぽけ」な日本の国立公文書館に問題意識を抱いたのが原点にあると、2018年に日本記者クラブの研究会で語った。事件記録の廃棄問題を受け、最高裁は5月、同館への記録移管を検討するとした。だが司法文書の保存で、日本は依然、米国に大きな後れを取っている。

成人未満失われた事件記録成人未満 第4部 少年事件記録の行方
「デジタル保存をすればよいのでは」。各地で廃棄が判明してから、事件記録の電子化は、たびたび指摘されてきた。だが最高裁は5月の調査報告で、紙の記録を電子化して保存するのを事実上見送った。記録を全て電子化しようとすれば、作業量もデータ量も膨らみ、「国民の負担で行うのが相当か慎重に検討が必要」と否定的な考えだった。保存場所の不足は電子化で解消できる。スキャン精度の向上や画像の文字を自動で読み取れる機能など、デジタルの利便性が広く知られる中、なぜ難色が示されたのだろうか。

 「デジタル保存をすればよいのでは」。各地で廃棄が判明してから、事件記録の電子化は、たびたび指摘されてきた。だが最高裁は5月の調査報告で、紙の記録を電子化して保存するのを事実上見送った。記録を全て電子化しようとすれば、作業量もデータ量も膨らみ、「国民の負担で行うのが相当か慎重に検討が必要」と否定的な考えだった。保存場所の不足は電子化で解消できる。スキャン精度の向上や画像の文字を自動で読み取れる機能など、デジタルの利便性が広く知られる中、なぜ難色が示されたのだろうか。

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