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洲本5人刺殺事件

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殺人罪などに問われた平野達彦被告の裁判員裁判初公判を前に、傍聴券を求める行列ができた神戸地裁=8日午前9時4分、神戸市中央区橘通2
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殺人罪などに問われた平野達彦被告の裁判員裁判初公判を前に、傍聴券を求める行列ができた神戸地裁=8日午前9時4分、神戸市中央区橘通2

 兵庫県洲本市中川原町中川原で2015年3月、2家族の計5人が殺害された事件。平野毅さん(82)と妻恒子さん(79)▽平野浩之さん(62)と妻方子さん(59)、母静子さん(84)=いずれも年齢は当時=が犠牲になった惨劇から2年を前に8日、神戸地裁で公判が始まった。平野達彦被告(42)はよどみない態度で無罪を主張。事件発生当時の状況などが明らかになった一方、被害者の関係者らからは、被告への憤りや失望の声が上がった。

 初公判で「完全な冤罪(えんざい)」と起訴内容を全面否認した平野達彦被告。「私の脳を電磁波兵器によって乗っ取り、殺害意思を持つよう強制した」などと不可解な主張を行う一方、終始落ち着いた態度を崩さなかった。

 罪状認否で、用意した意見書をよどみなく読み上げた平野被告。証人尋問の際には資料やノートを広げてペンで何かを記入したり、証拠が映し出される画像に見入ったりした。

 新たに分かったことも。検察の冒頭陳述によると、2002年以降、向精神薬を継続使用した結果、体にかゆみが出たり、物事に妄想的な意味づけをしてしまったりする精神障害を発症した-とされる。

 被害者一家への誹謗中傷(ちゅうしょう)を続けて10年に逮捕されて入院。14年には交際相手との結婚も考えたとされる。

 事件前にはインターネットで、殺人事件の量刑に関するページや殺傷方法などを検索。事件直後も「復讐(ふくしゅう)一部成功。裁判になるのでもう会えない」とネットに投稿したという。

 平野被告のボイスレコーダーには平野毅さん宅への侵入時や逮捕時の様子が録音されていた。「事件があったが、何かしてないか」と問う警察官に「報復した」などと答える生々しい音声が法廷で再生された。

 逮捕にあたった洲本署員は、当時の平野被告を「不気味なくらい落ち着いた感じ」と振り返った。

 被害者らの通報内容も分かった。最初は方子さんが洲本署に「近所の平野が家に入ってきた。助けてください。早く来てください」と連絡。

 受けた署員は「受話器を落としたと思われる音がし、直後に悲鳴が聞こえた」と証言した。

 浩之さんが「刺されている。だいぶ血が出ている」と110番した後、近所の家に逃げた長女からも通報があったという。

▼「理解できない」「残念」 地域住民や被害者の同僚

 「理解できない」「ただただ残念」-。無罪を主張した平野達彦被告の初公判を受け、のどかな田園風景が広がる事件現場周辺には失望が広がった。

 事件から間もなく2年。現場近くに住む70代の無職男性は「月日を経て自分と向き合い、反省やおわびの言葉が出てくるものと信じていたのに…」と声を落とす。「脳をジャックされた」などと証言台で被告が繰り返した不可解な主張に「なぜこんな思考に至ったのか、背景が知りたい」と話した。

 「(被告が)何を主張しようが、もう5人は戻って来ない」。平野浩之さん一家と家族ぐるみの付き合いだった60代の無職女性は複雑な胸の内を口にする一方で「精神障害だから無罪だなんて、そんなひどい話はない」と憤る。

 被害者のかつての仕事仲間も、公判への思いを語った。平野方子さんの勤務先の上司だった60代の男性は「事件の真実は明らかにできるのか。裁判の今後が思いやられる」と吐露。「明るく気さくだった彼女が、なぜ不幸な目に遭わなければならなかったのか」との疑念が今も消えないといい「残された遺族の心情を思うとやりきれない」と唇をかんだ。

2017/2/9

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