記事特集
神戸市などが主催する「1・17のつどい」は、午前5時から神戸・三宮の東遊園地で開かれた。
約1万本の竹灯籠にともされたろうそくの火で、暗闇に「1・17」の文字が浮かび上がる中、午前5時46分、集まった約5千人が黙とうした。
「慰霊と復興のモニュメント」前での式典では、震災で弟を亡くしたゴスペル歌手森祐理さんが「しあわせ運べるように」を独唱。遺族を代表し、長女を亡くした藤本圭子さん(55)=同市東灘区=が「忘れることも、消し去ることもできない」「震災を知らない子どもに語っていきたい」と涙を浮かべながら語った。
矢田立郎市長は「震災の経験を風化させず、次世代に語り継ぐ」と決意を述べた。式典には東日本大震災の被災者も参列。会場では東日本大震災が発生した午後2時46分にも黙とうをささげる。
遺族のことば、追悼のことばの要旨は次の通り。
【遺族のことば】藤本 圭子さん(55)
あれから18年がたちました。平成7年1月17日、5時46分。忘れたいと思います。でも忘れることも消し去ることもできません。まさか、あのような地震が神戸に来るなんて、まさか、娘がはりの下敷きになって亡くなるなんて考えてもいませんでした。あのものすごい揺れ、揺れがおさまった後の光景は、今でもはっきりと覚えています。
助けたいと必死で娘を捜し出し、必死で車を走らせ病院を目指したこと。道路も段差やがれきで走れず、周りもガス臭く、不安いっぱいで反対側から来るドライバーに道が通れるかを尋ねながら病院を巡ったこと。橋が渡れず市民病院にも行けなかったこと。そのうち娘の息が薄れ、亡くなったこと。たった10年と11カ月の命でした。全てが昨日のことのようです。
私は娘から震災の後、毎年プレゼントをもらっています。それは、娘の友達や担任の先生が、震災後欠かすことなく娘に会いに来てくれることです。結婚している友達、子どもを連れて来てくれる友達、独身の友達、記者になった友達、歌手を目指す友達、みんなの笑顔に私は励まされます。あの1月17日の話もできるようになりました。
あの日のことを、娘の通っていた本山第二小学校の4年生の子どもたちに毎年話しています。今年で13回目になります。震災後、しばらくは話せませんでした。娘の友達を見るのもつらい、親子が仲良く歩いているのを見られず、目を背けた日々もありましたが、震災を知らない子どもが全校生の8割もいると聞き、「『命の大切さ』や『子を思う親の気持ち』を伝えたい」と、つらい気持ちを押し殺し話します。
東日本大震災があった時、阪神・淡路大震災がフラッシュバックして、身体も心もつらい時期がありましたが、周りの温かい人々のおかげで立ち直ることができました。この感謝の気持ちも、亡くなった後も続いている娘の友達との交流のことも子どもに話します。阪神・淡路大震災を風化させないのと同様に、東日本大震災も忘れてはいけない。忘れないという思い、風化させてはいけないという気持ちは同じです。私も微力ですが、あの日の話を語っていきたいと思います。
(要旨)
【追悼のことば】矢田立郎・神戸市長
震災のあの日から今日までの18年間、国内外から大きな支援をいただきながら、市民の皆さまと復興に取り組んでまいりました。生きている者の責務として、震災で得た教訓を後世に継承していかなければなりません。
東日本大震災から2年を迎えようとしています。不自由な生活を送る方々がなお多数おられます。被災地へ心をつなぐ支援を引き続き行ってまいりたいと考えています。震災への備えを怠ることなく、安全・安心な社会を築かねばならないと決意いたします。
(要旨)
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