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カレーをよそう母の原里美さん(右)。咲人ちゃんを抱く姉の木畑優紀絵さん、父の利昭さんも寄り添う=17日夜、神戸市東灘区御影中町7(撮影・峰大二郎)
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カレーをよそう母の原里美さん(右)。咲人ちゃんを抱く姉の木畑優紀絵さん、父の利昭さんも寄り添う=17日夜、神戸市東灘区御影中町7(撮影・峰大二郎)

カレーをよそう母の原里美さん(右)。咲人ちゃんを抱く姉の木畑優紀絵さん、父の利昭さんも寄り添う=17日夜、神戸市東灘区御影中町7(撮影・峰大二郎)

カレーをよそう母の原里美さん(右)。咲人ちゃんを抱く姉の木畑優紀絵さん、父の利昭さんも寄り添う=17日夜、神戸市東灘区御影中町7(撮影・峰大二郎)

 神戸市東灘区の木畑優紀絵さん(31)は17日夜、亡き弟の原雄輝君=当時(10)=の遺影の前にカレーライスを供えた。両親、そして1歳の長男と一緒に。雄輝君の同級生らと和やかに語り合い、カレーを味わうのが一家の「1・17」の過ごし方。今年もまた巡ってきた。

 「1年ぶりやね」

 17日夜。雄輝君の同級生らが遺影を囲んで再会した。仕事や結婚、子育ての話…。それぞれが近況を語り始めた。

 その横で、優紀絵さん、父の原利昭さん(52)、母の里美さん(53)がうなずく。台所ではシーフードカレーが出番を待つ。

 阪神・淡路大震災の前日、家族で須磨海浜水族園に行った時のこと。雄輝君は「晩ご飯はカレーがいい」と里美さんにせがんだ。けれど「今日は煮込む時間がないから、またね」。そう言って、天ぷらにした。

 翌日未明。激震で東灘区の自宅は全壊した。梁の下敷きになり、家族の中では雄輝君だけが亡くなった。「うぅ」。里美さんは息子のうめき声を聞いた。「ゆう君、ゆう君」。何度も叫んだが、声は途絶えた。

 当時13歳だった優紀絵さんは、信じることができなかった。眠っているような雄輝君の死に顔を見て、「お願いやから、もう1回、病院で見てもらって」。泣きじゃくって、里美さんに頼んだ。

 「ゆう君に、大好きなカレーを食べさせてやろう」。翌年から、里美さんは命日にカレーを供えるようになる。雄輝君の同級生や担任教諭が訪れ、にぎやかに思い出話をするのも恒例になった。

 最近は、優紀絵さんがカレーを作る機会も増えてきた。傍らには、長男咲人ちゃん(1つ)。予定日より1週間早い2011年12月17日に生まれた。「17日が誕生日なのは、ゆう君と縁があるのかな」。優紀絵さんは、そう思わずにいられない。

 「僕が大きくなったら、みんなが住める家を作るから」。そう話す家族思いの優しい弟だった。「ゆう君が、咲人を抱っこしたら、何て言ったやろ。いっぱいおもちゃを買ってくれたやろね」。大人になった弟の姿を想像してみる。

 毎年訪れる同級生に、見ることのできない彼の将来を重ね合わせる。「でも、やっぱり、思い浮かぶゆう君の姿は、10歳のままなんです」。優紀絵さんは涙ぐむ。

 生きていたら28歳。今年は、エビが大好きだった雄輝君のために、優紀絵さんがシーフードカレーを手作りした。「大人になったゆう君なら、『もっと辛口がよかった』って言うかもね」。優紀絵さんはそう言って、笑顔になった。

(上田勇紀)

2013/1/17

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