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記念碑に刻まれた妻の名前を指さす細見昌一さん=17日午前6時19分、西宮市奥畑、西宮震災記念碑公園(撮影・笠原次郎)
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記念碑に刻まれた妻の名前を指さす細見昌一さん=17日午前6時19分、西宮市奥畑、西宮震災記念碑公園(撮影・笠原次郎)

記念碑に刻まれた妻の名前を指さす細見昌一さん=17日午前6時19分、西宮市奥畑、西宮震災記念碑公園(撮影・笠原次郎)

記念碑に刻まれた妻の名前を指さす細見昌一さん=17日午前6時19分、西宮市奥畑、西宮震災記念碑公園(撮影・笠原次郎)

 「今年も会いに来たよ」。細見昌一(しょういち)さん(88)=兵庫県西宮市一ケ谷町=は、同市奥畑の西宮震災記念碑公園を訪れ、44年間連れ添った妻タヅ子さん=当時(66)=に語りかけた。

 朗らかで料理上手な妻。けんかはほとんどしたことがない。子どもはおらず、どこへ行くのもいつも一緒だった。手をつないで、北海道に沖縄、ハワイへ、近所の買い物へ。会社を定年退職し、もっと2人で旅行しようと楽しみにしていた。

 18年前の朝、先に起きていた細見さんは「早く起きや」と声を掛けたが、タヅ子さんは起きてこなかった。その時、揺れが襲い、怖がったタヅ子さんは布団をかぶった。気が付いた時には空が見え、タヅ子さんは2階の下敷きになっていた。

 「ちゃんと起こしていれば」。自分を責めては落ち込んだ。でも、何度も夢を見た。どこかへ行こうとするタヅ子さんを「気を付けて行ってらっしゃい」と送り出す。「頑張らなあかん」。気持ちを奮い立たせ、前向きに生きるようになった。

 あれからずっと一人暮らしだ。炊事も洗濯も買い物もできるようになった。ふと妻が作ってくれた豆腐とワカメのみそ汁が恋しくなる。自分で作ってみることもあるが、「やっぱりあいつの味にはかなわんなぁ」。

 タヅ子さんの命の分まで生きていると思う。「ぼちぼち元気やで」。記念碑に刻まれた妻の名をそっとなでた。

(神谷千晶)

2013/1/17

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