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【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

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 加害教員4人のうち、主導的な立場だった30代の男性教員は「神戸方式」で前々校長が引っ張った-。

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題で、複数の関係者はそう証言する。羽交い締めで激辛カレーを食べさせる。車の上に乗る。各メディアで繰り返し流れた動画や画像に写る、あの男性教員だ。

 東須磨小は2017年、人権教育を推進する指定校になっていた。モデル授業や指導法の研究を行い、成果を発信する役割を担う。実はこれに向けて呼ばれたのが先の教員。市の小学校教員でつくる「人権教育部会」のセミナーに積極的に参加していたからだ。

 校長が意中の教員を「引っ張れる」。それを可能にしたのが、半世紀以上も連綿と続いた独自の人事ルール「神戸方式」だった。

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 仕組みはこうだ。

 毎年冬になると、異動対象者の氏名や年齢、住所、勤務希望区などが一覧になったリストが各校長の元に届く。小学校の場合は20枚ほど、計数百人分という。

 校長はまず自校の異動対象を確認し、続いて後任の人材を選択。在籍校の校長とその教員に面談を申し込み、受け入れられれば市教育委員会に届け出る。ただし、教員には最大9年まで同一校に勤務することが認められており、異動の提案を何度でも拒否できる。

 校長側にとっては、学校の現状に応じて必要な人材を集めやすくなる。教員側にとっては校長に選ばれることで意欲が高まり、介護や子育てといった事情にも柔軟に対応できる。

 神戸方式が長く温存された背景にはこうしたメリットがある。だが、本来の人事権者である市教委は事実上、かやの外。学校を知るパイプは自然と校長に限られ、ときとして市教委は情報から隔絶される。

 実際、市教委が東須磨小の問題を詳しく把握したのは、被害教員側から相談を受けた9月。くしくもこのときには、数年の議論を経て神戸方式の廃止がほぼ決まっていた。

 「本当に中核教員だった」。東須磨小の仁王(におう)美貴校長(55)は今月9日の会見で、主導した30代の男性教員をこう評した。

 異例の配置がそれを物語る。特に重要とされる6年の担任を4年連続で任され、いじめ対策も担当。その理由を神戸方式による前々校長の“威光”が働いた-とみる関係者は多い。いつしか先輩教員への呼び捨てが始まり、周囲には加害仲間が集まっていた。

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 「改革すればするほど、現場との距離感が開く」。17日の市総合教育会議。市教委幹部からは現場との溝の深さをうかがわせる発言が相次いだ。久元喜造市長は、会見で仁王校長が何度も「教育委員会さん」と呼んだことに「赤の他人のようだ」と指摘。教育行政の支援担当課を市長部局に置くことを決めた。

 早速ある校長は反発する。「不祥事をだしに校長の裁量を狭めようとしている」

 信頼は地に落ちた。足並みがそろわなければ、回復の道筋を描くのは難しい。(教員間暴行問題取材班)

2019/10/26

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