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【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

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 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題は、発覚から3週間。取材で新たに浮かび上がったのは、被害に遭った男性教員(25)への嫌がらせが赴任1年目には始まっていたことだった。加害教員4人の行為はエスカレートする一方だったが、当時の校長が深刻に受け止めた様子はかけらもない。それどころか、「いじめられてないよな」と決めつけるような発言すらあったという。ハラスメントが許され、SOSは封じられる。そんな異様な土壌の実態も次第に明らかになりつつある。

 「激辛カレーを強要」「はげ、ボケ、ダボなどの暴言を吐く」「書類を投げて渡す」「椅子をける」…

 今月17日の市議会常任委員会。配布資料には加害教員4人の行為がずらりと列記され、「極めて悪質」なセクハラもあった。

 被害を受けたのは男女2人ずつの若手教員で、療養に追い込まれた男性(25)は教師3年目だった。当初、市教育委員会は嫌がらせの始まりを2018年としていたが、実は17年、つまり新人として赴任したその年から続いていた。

 先輩を見習おうと授業見学をお願いしたときのことだ。「来るな、教室が汚れる」。加害教員の一人はそう言い放った。それだけではない。この年の夏ごろ、アルコールが苦手で懇親会を欠席したいと申し出ると、当時教頭だった前校長は「新人なら行くべきだ」と強要した。

 18年度に入ると、ハラスメントは一気に深刻化した。宴席の際、ビール瓶で頭を殴られる。熱湯入りのやかんを顔につけられる。車に灰皿の水をまかれる。ズボンを破られる…。

 今のところ背景に見えているのは、以前の職場が同じだった前校長と加害教員の1人が特に親しかったこと。そして「神戸方式」と呼ばれる全国でも極めて特異な教員人事システムが50年も続いてきたことだ。

   ◆

 「いびつな人間関係の土壌を管理職がつくっていた」。東須磨小勤務経験者はそう指摘する。例えば互いの呼び方だ。通常、校内では年齢に関係なく「○○先生」と呼び合う。しかし、前校長は同僚の一部を呼び捨てにした。さらに加害教員の一人は、先輩をも呼び捨てにした。

 前校長は18年度、この呼び捨てについては1度注意した。3学期には一部の教員から「(被害教員への)ふざけの度が過ぎている」と訴えがあり、加害教員4人を個別に指導したとする。だが、具体的な内容には踏み込んでいない。

 同じ頃、被害教員は前校長に嫌がらせについて尋ねられた。当時のやりとりを、弁護士にこう証言している。

 前校長「お前ぶっちゃけ(加害教員のことを)どう思ってるん?」

 被害教員「お世話になってます」

 前校長「そうやんな。じゃ、お前はいじめられてないんやんな」

 一方的にSOSを封じ込めるかのような言い回し。後任の仁王(におう)美貴校長(55)にも引き継がれてはいない。ただし、前校長は市教委にこのやりとりを否定している。

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 今月16日、2度目の保護者会。仁王校長が子どもたちの様子を説明した。

 連日の報道が続く中、加害教員、被害教員が担任していた学級の子どもたちが心境を紙に書く時間が設けられた。言葉にならず絵で表現した子どももいれば、書いたものをビリビリに破く児童もいた。別室で号泣するケースもあれば、起きたことが信じられず「(加害者は)先生じゃない」とつづったものもあった。

 学校には苦情電話が殺到し、住民らが展開する地域活動も延期を余儀なくされている。前代未聞の不祥事が引き起こした激震は、いまだ収まっていない。(教員間暴行問題取材班)

2019/10/25

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