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【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

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先輩からアドバイスを受けながら授業の準備に取り組む川上美月教諭=神戸市長田区前原町1、室内小学校(撮影・大山伸一郎)
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先輩からアドバイスを受けながら授業の準備に取り組む川上美月教諭=神戸市長田区前原町1、室内小学校(撮影・大山伸一郎)

 「副大臣が神戸に行きたいと言っています。概要の報告を上げてください」

 昨年10月、東京・霞ヶ関の文部科学省から神戸市教育委員会に電話が入った。

 数日前の10月4日、同省初等中等教育局の担当者は、パソコンに映し出された文字に目を疑った。

 「教員4人が同僚いじめ」「目に激辛カレー」。神戸市立東須磨小学校の教員間暴力のニュースだった。

 同省の動きは速かった。亀岡偉民(よしたみ)副大臣が神戸市役所に足を運んだのは、10月15日。テレビカメラや記者の前で「加害教員には厳正な処分を下してほしい」と踏み込んだ。

 2018年も、女子中学生のいじめ自殺を巡る問題を巡り、文科省は神戸市教委に入った。「別の不祥事で2年連続の派遣は記憶にない。規模の大きな政令市でこんなことになるとは」。担当者は声を落とす。

 同省は全国の都道府県・政令市を対象に急きょ調査。19年12月、教員間のハラスメントや暴行などで全国で32人が処分されていた実態が明るみに出た。

 今年3月、同省が全国の教育委員会に出したハラスメント防止の通知。わざわざ東須磨小の事案を引いた項目があった。

 「大人社会のハラスメントも児童生徒間のいじめと同じ地平で起こる(中略)教職員の認識を改めて確認し、啓発その他必要な措置を講ずること」

 教員の不祥事といえば、体罰とわいせつが2大事案。だが今、同僚間の深刻なハラスメントがはびこる。「予想を超える」と同省。「社会人としての常識や大人同士の人間関係を築く力に欠けている。教員の弱点が改めて問われている」

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 「3桁のかけ算を分かりやすく伝えるにはどんな黒板にしたらいいですか」

 神戸市長田区の室内(むろうち)小学校。採用2年目の川上美月教諭(28)が先輩教員に尋ねていた。同校の教員数は20人。20~30代の若手が6割を占める。

 仁ノ内智校長は「チームワークがあってこそ、若手が伸びる」と強調する。教員の育成は伝統的に、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)。現場で先輩からきめ細かく指導を受け、一人前に育っていく。

 さらに神戸市では、指導力に問題があるとされた若手教員に、「指導改善研修」を行っている。週2日、校長経験者らにみっちりと仕込まれ、自校で試す生活を1年続ける。

 教科の教え方や学級経営など対子どもに関する研修は用意されている一方で、社会性をはぐくみ、コミュニケーション能力を高める研修は十分とは言えない。

 教員間暴力を受け、初任教諭を対象に始めるはずだった民間企業研修は、新型コロナウイルスの感染拡大で中止に。そもそも夏休みに3日間の研修では、実効性には疑問の声も上がっていた。

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 前出の文科省の通知にはもう一つ、ポイントが書かれていた。

 「限られた集団でハラスメントが固定化することのないよう、保護者や地域住民等の学校への参画を積極的に進めること」

 教員を育てるのは教員だけではない。東須磨小では再生に向け、外の風を入れる取り組みが始まろうとしている。(井上 駿)

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2020/6/12

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