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【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

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生徒宅に課題などが入った封筒を届ける教員=神戸市中央区(撮影・後藤亮平)
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生徒宅に課題などが入った封筒を届ける教員=神戸市中央区(撮影・後藤亮平)
がらんとした教室。教材が保管されている=神戸市須磨区青葉町3、鷹取中学校(撮影・斎藤雅志)
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がらんとした教室。教材が保管されている=神戸市須磨区青葉町3、鷹取中学校(撮影・斎藤雅志)

 静まり返る学校から、教員らが電動自転車や車に乗り込み、慌ただしく出て行った。

 4月24日朝、神戸市中央区の市立神戸生田中学校。教員が携える茶封筒には、国語や数学など10科目の課題や保護者への手紙など、プリント40枚。生徒宅を一軒一軒、回っていく。

 2年の学年主任、高田光義教諭(56)は地図で確認しながら、玄関ポストに封筒を入れた。この日の朝礼で急きょ、生徒宅のインターホンは押さない、と決まった。子どもと面と向かって話し込まないようにとの配慮だ。

 「うちの子、まだ寝ていて」。たまたま居合わせた母親が申し訳なさそうにわびた。

 「子どもたちがどんな暮らしをしているのか全く見えない。本当は顔を見たいし、話もしたい」

 課題は教員が在宅勤務などで仕上げた。教職員の出勤を7割以上減らすよう市から言われており、同校でも各学年2人ほどが交代で出勤する。課題には返信用の封筒を同封。1週間後をめどに送り返すようにし、評価に反映する。

 「学校さえ始まれば生活リズムは戻る。でも再開がいつになるか…」。高田教諭はせかされるように次の生徒宅に向かった。

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止で、兵庫県内の休校は5月末まで延長された。県教育委員会によると、小中学校では、1年間で学ぶ量の2割が失われる計算になる。夏休みを短くし、土曜授業を入れても、まだ足りない。

 「教科書1ページの『たんぽぽ』の詩を5回読みましょう」(2年国語)

 同市立こうべ小学校はホームページに、学年ごとに30分ずつの時間割を掲載している。子どもが一人でもできる具体的な学習法も示した。

 神戸市教委はこれまで「復習中心」の学びを推進してきた。学校で一斉に習ったことを、家でおさらいする。だが、授業ができない今、転換せざるを得ない。「これまでのやり方ではもう間に合わない。これを機に予習のノウハウを確立したい」。市教委担当者は模索を続ける。

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 「新しい仕組みでやろうと意気込んでいたのだが」

 神戸市の長田淳教育長は声を落とす。昨年秋に発覚した市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言を受けて、「教育再生元年」としてスタートを切るはずだった。

 組織改革の目玉として新設した「地区統括官」。校長OBらが学校を巡回してサポートする役回りだが、数校訪れて、動きは止まった。教師の育成やハラスメント防止を議論する有識者の会議も当面、開けない。

 それよりも、目の前の問題が山積みだ。休校中の学習支援や家庭のケア、再開後の段取り。おまけに「9月入学」まで取りざたされている。

 神戸市が想定していた、いわば「平時の改革」を一気に塗り替えるコロナ禍。「旧態依然としていた市教委の体質改善」(長田教育長)は、結果がすぐに求められる事態となっている。(斉藤絵美、井上 駿)

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 神戸の教員間暴力について取り上げてきたシリーズ「学校いま 未来」。経験したことのない社会の変化の中で、教育再生の道筋はどう進むのか。第3部では、揺れる現場を描きながら、学校や教員の存在そのものを考えたい。

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<ご意見募集します>先生や学校について、意見や提案をお寄せください。メールはhoudou@kobe‐np.co.jp、ファクス078・360・5501

2020/5/4

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