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【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

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地域住民に見守られながら登校する子どもたち=神戸市須磨区妙法寺(撮影・秋山亮太)
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地域住民に見守られながら登校する子どもたち=神戸市須磨区妙法寺(撮影・秋山亮太)

 学校が再開され、朝の通学路にも子どもたちの元気な姿が戻ってきた。

 「おはようさん」。神戸市立妙法寺小学校(須磨区)近くの交差点。「見守り隊」リーダーの大矢督(ただし)さん(84)が声を掛けると、子どもたちは照れくさそうに返す。横断歩道を渡る子たちを黄色い旗で誘導する。

 同校は2019年度から、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)を設置。見守りや放課後の子どもの居場所作りなど、教員がやってきたことを地域が担うようになった。

 会合ではメンバー15人に守秘義務を徹底した上で、いじめや不登校、心配な家庭についてこまめに報告する。中山紀彦校長(59)は「違う視点から発想や知恵をもらえる。地域全体で見守ることで抑止力にもつながる」と話す。

 協議会は地域住民が学校運営に積極的に関わる制度として、国が2004年に導入。17年には設置を「努力義務」とした。

 ただ、役割としては学校運営に加え、教職員の任用にまで校長や教育委員会に口出しできる。「物言う住民」を敬遠してか、19年時点で全国の導入率は21・3%。神戸市でも小中243校のうち15校にとどまる。

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 「開かれた学校」。この言葉が使われるようになったのは、1980年代後半からだ。学校は地域の共有財産。子どもを社会で育てる。そうした考え方が広がった。

 01年、大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件で一変。学校は校門を閉じた。神戸市も全小学校で校門にオートロックの鍵とカメラ付きインターホンを付けた。

 いったん足踏みしたものの、流れは少しずつ戻る。

 岡山県境に近い、赤穂市の赤穂西小学校。校内に立派な畑があり、地元農家の手ほどきを受け、子どもたちが野菜を育てる。6年理科の“先生”は、発電工場の従業員だ。こうした活動で18年、文部科学大臣表彰を受けた。

 「協議会が単なる助っ人では深まらない。大人は学校から活力や学びを得て、子どもは地域の大人の姿を見る。相互に関わることが大事」と兵庫教育大の小西哲也教授(64)=教育経営=は語る。

 新型コロナウイルス禍による社会経済の変化にも触れる。「東京一極集中から転換していくのではないか。学校は地域の核として、新たな価値を生み出せると思う」

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 昨年秋、教員間暴力問題が発覚した東須磨小学校。来春には、協議会を設置することが決まった。

 外部調査委員会の報告書は「学校現場を積極的に外部へ開くことも、教員の世界の閉塞(へいそく)感を打破する手段」と指摘。市教委担当者は「地域の目が職員室まで届いていれば、もう少し早い段階でおかしいと気付くことができたはず」と振り返る。

 今春着任した小山光一校長(56)は「1年掛けてじっくり、地域の人とともに絵を描きたい。地域、子ども、保護者を巻き込んで、ずっと続けられるものにしないと意味がない」と語る。

 「明るい光になればいいのですが」と小山校長。学校を開いたその先に、再生の道を探り続ける。(斉藤絵美)

=シリーズ連載「学校いま未来」は今回で終わります。

2020/6/13

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