連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

【特集】神戸・東須磨小 教員間暴行

  • 印刷
2人の地区統括官(左上奥)を招き、新型コロナウイルス対応を話し合う神戸市小学校長会=神戸市中央区東川崎町1(撮影・中西幸大)
拡大
2人の地区統括官(左上奥)を招き、新型コロナウイルス対応を話し合う神戸市小学校長会=神戸市中央区東川崎町1(撮影・中西幸大)

■現場、教委試される連携

 緊張感のある空気がさらに引き締まった。

 4月27日、新型コロナウイルス対策で臨時開催された神戸市小学校長会の役員会。校長らと少し離れて後方の席に着いたのは、同市教育委員会の地区統括官2人。教員間暴力問題を受け、新設されたポストで、校長会に初めて招かれた。

 「登校日の中止のお願いを突然、市長がツイッターで表明されても現場は困る。早めに連絡や相談をしてもらわないと、教職員が疲弊するだけ」

 校長会の会長を務める湊小学校(同市中央区)の宮本晃郎校長は、休校中にいったん設けた入学説明会や登校日が急きょ打ち切りになったことを持ち出した。「事務局には速やかな情報提供をお願いしたい」と重ねた。

     ◆

 市教委と学校の関係の再構築-。2018年に発覚した中学生いじめ自殺を巡る不手際を受け、有識者会議は提言した。その言葉は、昨秋の教員間暴力問題で重みを増した。

 299校園、教員約9千人を抱える同市教委事務局。「円滑に業務を遂行できたのは、校長会と神戸市教職員組合とのバランスがあった」。元市教委幹部で神戸親和女子大の洲脇一郎教授は指摘する。

 市教委の施策は、校長会を通じて教職員に伝えられる。校長同士で教員の人事異動案を練る「神戸方式」が半世紀にわたり定着。本来、市教委が担う研修と人事を一任するなど事実上、校長会が教育行政を回してきた。その慣習こそが、相次ぐ不祥事の温床と指摘された。

 そこで久元喜造市長や市教委が打ち出したのが、ガバナンス(統治)強化。地区統括官や弁護士、臨床心理士らでつくる「監理室」を市教委に置き、市教委から学校現場に向けて、一方向の矢印を引こうとした。

 だが、有識者会議の委員を務めた兵庫教育大の川上泰彦准教授は「求められるのは統制よりも市教委から各学校への支援」と語る。「一方的な矢印ではなく、いかに双方向で結びつけるか。市教委が現場に『ヒト・モノ・情報』を効率的に分配する発想が大事」

 そうした姿勢は、休校中の支援やオンライン授業、再開後の立て直しに欠かせない。宮本校長も「校長会は市教委に反発しているわけではない。市教委はうまく校長会を使ってほしい」と真意を語る。「今こそ、子どものために同じ方向を向きたい」

     ◆

 「予測困難な時代になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考える」。今春、小学校で全面実施された新しい学習指導要領はうたう。

 市内の中学校で3年を担任する若手教師は、家庭学習のプリントを作りながら、知らないことを生徒自身でどうやって理解してもらうか、頭を悩ませている。「生徒に伝えたいことを中心に授業を組み立てていて、自己満足の面もあった。理解してもらうには何が必要か、視点が変わった」

 まさに予測困難の時代に、学校の「当たり前」を見直す。教育再生もその先にしか、道はない。(井上 駿)

=おわり=

     ◆  ◆

<みんなで考えようこれからの学校>先生や学校について、意見や提案をお寄せください。メールはhoudou@kobe‐np.co.jp、ファクス078・360・5501

2020/5/9

天気(10月31日)

  • 20℃
  • ---℃
  • 0%

  • 19℃
  • ---℃
  • 0%

  • 21℃
  • ---℃
  • 0%

  • 20℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ