医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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久原篤さん 
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久原篤さん 
線虫のイラスト入りTシャツを着る久原研究室のメンバー=神戸市東灘区岡本の甲南大
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線虫のイラスト入りTシャツを着る久原研究室のメンバー=神戸市東灘区岡本の甲南大

 土の中などに生息する1ミリ程度の線虫を使い、脳や神経などの仕組みを研究しています。線虫の細胞は全体で千個足らず、神経細胞は約300個と少ないのに、遺伝子の数は人間に近い。線虫から学んだことが人間の長寿や健康の参考になればと思います。

 長寿との関係では、一般的には食事や運動法などが注目されます。線虫は食事が不足すると、飢餓に備えて、幼虫は成虫に成長しなくなります。「耐性幼虫」といいます。生存を優先するのです。口を閉じて食事をせず、排せつもなくなります。体が細く、腸の中に脂肪が蓄えられ、黒くなるのが特徴です。線虫の寿命は通常20日ほどなのに、耐性幼虫は2~3カ月も生き延びます。食事が十分になれば元の状態に戻ります。

 実験で使う線虫は、培養皿にいる大腸菌をえさにしています。大腸菌は人でいえばフランス料理のような高カロリーの高級食品。線虫はよく太っています。ですが、培養皿のようにえさを食べ続けられる状態よりも、えさがあるときとないときを繰り返した方が寿命は延びます。体のためには、一時的な飢餓状態があった方がよいようです。私も、昼ご飯は白飯を減らすようにしていますよ。

 私が研究対象にする脳や神経、腸は体の物質代謝やホルモン分泌に関係し、全身の健康にとって重要です。脳や神経を健康に保つには、過度なストレスなど悪い情報を与えないことが必要。ストレスがたまると線虫も体形が変わったり、早死にしたりします。

 個体数が増えすぎて生息密度が高くなると、ストレスが増え、線虫にとって不快な状態になります。満員電車が不快なのと同じですね。密度が高くなると、将来の食事不足を想定し、耐性幼虫になります。ストレスを減らすには脳に快いことをするのがいい。趣味に没頭するのがお勧めです。私の場合はプラモデルなど。気分転換にはものを作るのがいいですね。(聞き手・金井恒幸)

【くはら・あつし】1976年名古屋市生まれ。理学博士。名古屋大大学院理学研究科講師などを歴任し、2013年4月から現職。

線虫と温度

 線虫はある温度から急に低温に移すと死ぬ。寒さは物質代謝などに悪影響を及ぼすためという。だが、それらの中間の温度に一度置くと、低温に耐える力が備わり、生き残る個体が増える。

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