医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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千原和夫さん
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千原和夫さん
自宅と勤務先の病院との往復は、最寄り駅から自転車で。千原和夫さんが10年以上続ける運動習慣だ=明石医療センター
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自宅と勤務先の病院との往復は、最寄り駅から自転車で。千原和夫さんが10年以上続ける運動習慣だ=明石医療センター

 子どもの発育に大きな役割を果たす成長ホルモンは、思春期を過ぎても出続けており、主要な臓器の代謝をつかさどっています。一方で成長ホルモンが欠落すると、脂肪がたまって筋肉が減り、「隠れ肥満」「中年太り」につながりかねません。骨量が足りず、転倒による骨折のリスクもあります。活動意欲がわかず就労が難しくなったり、対人関係がおっくうになって引きこもったりするといったケースも考えられます。

 成長ホルモンの分泌は加齢とともに少しずつ減少します。そこで、健康寿命を延ばすためには、いかに成長ホルモンの減りにブレーキをかけるかが、大切になります。

 「寝る子は育つ」という言葉通り、きっちりと睡眠を取ってください。入眠してからの3時間の脳波を取ると、非常に眠りは深く、成長ホルモンの分泌量が多くなることが分かっています。日中の活動を高めれば高めるほど、疲れで体が睡眠を必要とします。昼寝をすると、夜はかえって眠りにくくなるので、昼間はなるべく趣味や仕事で体を動かすようにしてください。

 食事は1日3食きっちりと。脂身の少ない肉や魚など、アミノ酸を含む良質のタンパク質を取るようにし、甘い物や炭水化物を控えてカロリーを抑えるべきです。

 また、運動で筋肉を鍛えるのも良いです。特に太ももなど大きな部位をトレーニングすること。早足で歩いたり、負担がかかり過ぎない程度にバーベル挙げやゴムチューブ引きに取り組んだりしても効果的です。高齢者のジョギングは関節を痛めやすいですが、代わりにプールでの水中ウオーキングをお勧めします。週2~3回でも大丈夫です。

 つまり、規則正しい睡眠、食事、運動で生活リズムを保つことが、成長ホルモンの低減を食い止める鍵なのです。

 もう一つ重要なのは、ストレスをため込まずに切り抜けること。親からの愛情に恵まれない子どもが、慢性的なストレスから成長ホルモンが抑制され、低身長に陥る症状も報告されているのです。働き盛りの大人も常にストレスにさらされています。

 人生でいろんな経験を積む中で、自分にとって楽しいこと、向いていること、興味のあることは、ある程度分かってくるはずです。世の中で同じ趣味を持つ人らはたくさんいるはず。引きこもらず、社会とつながり、自身を活性化させてほしいと思います。(聞き手・佐藤健介、協力・兵庫県予防医学協会)

【ちはら・かずお】1945年、岡山県生まれ、姫路市育ち。神戸大医学部卒。ホルモン研究で受賞歴多数。神戸大名誉教授。加古川医療センター院長などを経て、明石医療センターで参事と糖尿病・内分泌内科主任部長を務める。

千原さんが勧める三つの作法

一、良質のタンパク質を取り、炭水化物を控える

一、運動と深い眠りで生活のリズムを維持する

一、興味で社会とつながり、ストレスを回避する

成長ホルモン

 脳の下垂体から分泌され、成長期に骨の形成を促して筋肉量を増やす。成人期以降も体脂肪を分解し、内臓機能や免疫力を保持する。加齢に伴って減少。脳腫瘍で下垂体が圧迫されると、分泌量異常で低身長症や巨人症を起こしうる。

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