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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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吉矢邦彦さん
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 近年、メディアでも取り上げられる機会が増えた病気に慢性腎臓病(CKD)があります。これは、血液中のタンパク質が尿に溶け出す「タンパク尿」など腎疾患の症状や、血液中の老廃物をろ過する腎機能の低下が3カ月以上続いている状態を指します。

 腎機能の指標には、老廃物である血清クレアチニンと年齢から算出する「推定糸球体(しきゅうたい)ろ過量」があり、健康な人を100点とすると、要注意は60点以下です。CKDの症状としては食欲不振や吐き気、便秘や下痢、全身の倦怠(けんたい)感などが挙げられますが、徐々に悪化するため気付きにくく、健康診断による早期発見が極めて重要と言えます。

 CKDが進むと最終的には末期腎不全となり、透析や腎臓移植が必要になりますが、食事療法と薬物治療をうまく組み合わせれば、そうした段階に至るのを遅らせることは可能です。中には高血圧を伴わなかったり、タンパク尿がごく軽度だったりと進行しないCKDもあるので、専門医による見極めも大事です。

 食事で特にポイントとなるのがタンパク質と塩分です。炭水化物、脂質と並ぶ三大栄養素の中で、タンパク質は唯一窒素を含み、その出口となるのが腎臓です。このため、摂取しすぎると過度に負担がかかってしまいます。

 タンパク質は肉や魚、卵などのほか、米にも含まれるので、主食も主菜も変えていく必要があります。ただし、ダイエットとは違います。エネルギーはしっかり取りつつ、タンパク質を制限する。最近は低タンパクの米やパン、麺類など専用の特殊食品もあるので、管理栄養士らの指導を受けながら偏りのない食事を心掛けてください。

 塩分は1日5~6グラム程度に抑えるのが理想です。みそ汁や漬物は避け、醤油(しょうゆ)はべったりつけない。食品の栄養成分表示を見る習慣も大切です。例えばドレッシングや出汁(だし)でも、種類によって食塩量は大きく異なります。表示を確認し、塩分やナトリウムが少ないものを選びましょう。

 一方、夏場は熱中症対策として塩分補給も必要とされます。汗をかいたら、お茶に塩をひとつまみ入れて飲むのも有効です。

 進行するCKDは、残念ながら治せません。しかし、積極的な治療と日常生活のコントロールを根気強く行えば、透析後の暮らしにも効果があります。諦めず、できることから始めましょう。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【よしや・くにひこ】1953年、大阪市福島区出身。東京慈恵医大を卒業し、神戸大付属病院などを経て96年から原泌尿器科病院腎臓内科に勤務。日本腎臓学会指導医評議員と日本透析医学会指導医も務める。

吉矢さんが勧める三つの作法

一、健康診断はきちんと受ける

一、腎疾患が見つかれば気軽に専門医に相談を

一、食生活に気をつけ、適度な運動を

腎臓の役割

 老廃物や余分な水分を排出するために血液をろ過し、尿として排出する。また、ナトリウムやカリウムなどのミネラルバランスの調節のほか、赤血球を作るのに必要なホルモンの分泌や、骨の発育に重要なビタミンDの活性化にも関わる。

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