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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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雨海照祥さん
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神戸新聞NEXT
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 高齢化が進む日本でキーワードの一つになっているのが「サルコペニア」です。これは、主に加齢に伴って筋肉量や筋力が低下した状態を指します。日本では2007年に65歳以上の人口の割合が21%を超え、世界で最も早く「超高齢社会」を迎えました。18年には28%に達する可能性もあります。

 サルコペニアに注意が必要なのは、日常生活に支障を来してしまうからです。基本的な対策は運動と食事です。残念ながら食欲は年齢とともに落ち、加えて運動量も減ると、さらに食欲が低下します。この負のスパイラルでサルコペニアは悪化します。

 運動で大事なのは「毎日こつこつ」です。例えば、いすに腰をかけ、足首を立てて膝を伸ばしたり、壁に手を突いて片足立ちをしたりするようなトレーニングが推奨されています。

 一方、食事でお勧めするのは大豆製品。筋肉を新たに作るアミノ酸の一種「ロイシン」が牛肉の2倍も含まれ、高齢者にとっては文字通り「畑のお肉」といえます。さらに重要なのは摂取する食品のバラエティーです。最近、食品の多様性を点数化して評価する方法も考案され、有用と考えられています。

 高齢者にとっては「フレイル」予防も大切です。フレイルとは転倒や骨折、入院、入院中の肺炎など、要介護につながる事象を起こしやすい状態とされ、日本語では「虚弱」と訳されます。

 主な原因はサルコペニアですが、認知症やうつなどの精神的・心理的要因や、1人暮らしで周囲と交わる機会が減るなどの社会的要因も、単独でフレイルの原因となり注意が必要です。診断には五つのポイント=表参照=があるので、点検してみてください。

 サルコペニアもフレイルも75歳以上の20%を占め、年齢とともに増加していきます。これは日本だけの問題ではありません。今年6月、国際学会に招かれて講演をした際にも、米国の大手企業役員から「超高齢社会への日本の適切な対応が世界を救う」とげきをいただきました。

 世界にとっても近未来の課題と言え、厚生労働省で現在策定中の「日本人の食事摂取基準(20年版)」でも、フレイルに対する栄養の重要性が検討されています。地域や社会全体で正しい対策に取り組むことこそが急務で、日本では管理栄養士教育も精力的に続けられています。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【あまがい・てるよし】1956年、山形県鶴岡市出身。筑波大医学専門学群卒業後、英国バーミンガム小児病院外科、茨城県立こども病院小児外科部長などを経て、2007年から現職。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(20年版)」策定委員も務める。

雨海さんが勧める三つの作法

一、運動と食事でサルコペニアを予防する

一、生活、人生、自然を心の底から楽しむ

一、地域活動などに参加して社会とつながる

食品摂取の多様性の評価法

 肉▽魚介類▽卵▽大豆・大豆製品▽牛乳▽緑黄色野菜▽海藻類▽いも▽果物▽油を使った料理-の計10項目で評価。ほぼ毎日食べる場合を1点とし、合計7点以上が望ましいとされる。(日本公衆衛生雑誌2003より)

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