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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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上野泰さん
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上野泰さん

 塩分、コレステロール、喫煙の三つが脳卒中に最も悪影響を与えます。通常の食事でも十分、塩分が入っているので、余分な塩分摂取は禁物です。漬物にしょうゆをかけるなどは毒に毒を盛っているようなもので、減塩の調味料を使うなどして、できるだけ塩分摂取を減らしてください。

 予防のために適切な運動は大切ですが、筋トレでバーベルを持ち上げるなどの運動は脳圧や血圧を上げるため、脳出血のリスクになります。運動は水中での歩行や軽いジョギングがよいでしょう。運動をして汗をかくと、お年寄りは脱水状態になりやすいです。血液の粘度が上がることで閉塞(へいそく)や目詰まりが生じ、脳梗塞を起こしかねません。必ず水分は持ち歩き、水分摂取を心掛けてください。

 予防とともに早期発見も重要です。脳梗塞の中でも心臓の不整脈で生じた血の塊が、脳血管で詰まる「心原性脳梗塞」は、特に致命的で重篤な状態になりやすいです。

 日本では発症から4時間半以内であれば、血の塊を溶かす薬を投与でき、重症化を防ぐ可能性があります。6時間以内であれば、カテーテル(医療用の細い管)を使い、血栓を取り除く治療ができます。最近の論文では24時間までならカテーテルでの治療ができると言われていますが、より早い方がその後の回復のためにもいいとされています。

 脳細胞が壊死(えし)するまでの時間は人によって違います。6時間以内に血の塊を回収し、症状がよくなるのは当院では6~7割で、6時間以内の方が術後の回復率はよくなります。

 北米では「FAST」として、顔のまひ▽腕のしびれ▽言語障害-と脳卒中を疑う三つの症状を紹介し、早期診断を啓発しています。当院でも脳梗塞患者を調べると、90%にしびれや言語障害がありました。

 特に気にしてもらいたいのは、朝起きて手がしびれていることです。夜間は汗をかいて脱水状態となり、血管が詰まりやすいです。発症が分かりにくいため、すぐに6時間が過ぎ、薬の投与や血管内でのカルーテル治療ができないこともあります。

 しびれやがろれつが回らない症状に「寝違えたかな」「様子を見よう」など、病院に行くのをためらう人も多いですが、30分早く治療を開始し、血の塊を回収できれば、回復する可能性が5%上昇するデータもあります。日々の予防とともに、具体的な症状を知り、いち早く治療を受けることにも注意してください。(協力・兵庫県予防医学協会、聞き手・篠原拓真)

【うえの・やすし】1966年、横浜市生まれ。92年に京都大学卒業。倉敷中央病院や神戸市立医療センター中央市民病院などを経て、2012年から神鋼記念病院の脳神経外科部長と脳卒中センター長を務める。

上野さんが勧める三つの作法

一、適度な水分を取る。特に就寝前は気を付けて

一、脳卒中が疑われる三つの症状を知る

一、時間が勝負。異変を感じたら、ためらわずに病院に

脳卒中

  脳の血管が詰まる脳梗塞▽血管が破れる脳出血▽脳動脈にできた膨らみが破裂するくも膜下出血▽短時間で脳梗塞の症状が消滅する一過性脳虚血発作-の四つに分類される。高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈、喫煙が五大危険因子。

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