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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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吉本明弘さん
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吉本明弘さん
高尿酸血症を啓発するパンフレット。生活習慣病の一つとして注目されている
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高尿酸血症を啓発するパンフレット。生活習慣病の一つとして注目されている

 高尿酸血症は、尿酸値が高い状態を指します。その症状として最も有名なのは、痛風発作でしょう。本来、血液中に溶けているはずの尿酸が結晶となり、関節に沈着することで、あるとき強烈な痛みを起こします。

 けれども「痛風が怖い」だけの病気ではありません。結晶が腎臓に沈着すれば、腎臓の働きが悪くなり、人工透析が必要になる場合があります。また最近では、尿酸値が高いことで、動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞の直接の引き金になることが報告されています。つまり健康寿命を縮めたり、命に関わったりする病気の一つでもあるのです。

 高尿酸血症は、20歳以上の男性に起こりやすく、30代男性は約30%に尿酸値の異常があるとされます。女性ホルモンの働きで、女性の患者は少ないですが、閉経後は増加します。遺伝的な体質もあるので、血縁者に痛風の人がいる場合は注意が必要です。

 尿酸のもととなるのは「プリン体」というレバーや魚の干物、お酒に多く含まれる物質です。「プリン体カット」というお酒も見かけますが、アルコール自体が尿酸値を高めることは覚えておいてください。魚卵や肉にも多く、かつて痛風が「ぜいたく病」「帝王病」と呼ばれていたのも一理あります。

 砂糖の多い清涼飲料水が落とし穴になることも。「お酒を断ったのに尿酸値が下がらない」と訴える患者さんに話を聞くと、代わりに炭酸飲料を飲み、尿酸値に影響していた、ということがあります。

 予防の一番は、お酒を減らすこと。食事もプリン体の多いものを抑え、腹八分目に。尿をアルカリ性に近づける海藻類や野菜を多く食べ、水分を十分に取ることも挙げられます。激しい運動はむしろ尿酸値を上げるので、ウオーキングなどの有酸素運動をお勧めします。

 もし血液検査で尿酸値が基準値を超え7mg/dl台になっても、まずは薬より食事や生活習慣を見直しましょう。3カ月~半年で正常値に戻る人は多くいます。

 効果がないようなら薬を飲むことになりますが、最近、約40年ぶりに新薬も登場しました。高血圧や糖尿病に比べ、治療が後回しにされがちだった高尿酸血症ですが、生活習慣病の一つにも位置付けられるようになり、予防や治療の機運が高まっています。ぜひ関心を持ってください。(聞き手・武藤邦生、協力・兵庫県予防医学協会)

【よしもと・あきひろ】1969年大阪市出身。95年大阪医科大卒。倉敷中央病院、京都大病院などを経て、2003年から神戸市立医療センター中央市民病院へ。15年に腎臓内科部長。芦屋市在住。

吉本さんが勧める三つの作法

一、尿酸値を抑え、痛風だけでなく脳卒中も予防

一、お酒は減らし、野菜や海藻類を多く食べる

一、激しい運動より、歩行などの有酸素運動を

高尿酸血症

 尿酸値が高い状態が長期化すると、尿酸が結晶となり、尿管結石、痛風結節(体にできるこぶ)などを起こす。患者は500万人以上と推定され、脂質異常症や高血圧、肥満などの生活習慣病を併せ持つ人も多いとされる。

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